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[C−2.植物に与える酸性及び酸化性物質の影響に関する研究]

(1)スギ林における酸性降下物等の動態解明と影響予察に関する研究


[研究代表者]

 

森林総合研究所

●堀田 庸

[農林水産省 森林総合研究所]

 

森林環境部 植物生態科長

●森川 靖

        環境生理研究室

●松本陽介、重永英年、上村 章、丸山 温

        養分動態研究室

●赤間亮夫、西本哲昭、溝口岳男

        立地評価研究室

●小林繁男、森田佳行、田中永晴

        土壌化学研究室

●石塚和裕、的場節子、高橋正通

        土壌物理研究室

●松浦陽次郎、加藤正樹、荒木 誠

森林生物部 土壌微生物研究室

●岡部宏秋

生物機能開発部 生理機能研究室

●長尾精文、横田 智、田崎 清

木材利用部 木材特性科長

●太田貞明

        材質研究室

●平川泰彦

関西支所 造林研究室

●清野嘉之、加茂晧一、井鷺裕司

       土壌研究室

●鳥居厚志、金子真司

[農林水産省 農業環境技術研究所]

環境管理部 資源・生態管理科長

●陽捷行

資材動態部 多量要素動態研究室

●樋口太重、尾和尚人

環境管理部 影響調査研究室

●鶴田治雄、神田健一、八木一行

(委託先)
群馬県林業試験場


●近藤次雄

富山県林業技術センター

●安田 洋


[平成2〜4年度合計予算額]

57,795千円


[要旨]

  広域に衰退が確認されている関東地方平野部のスギ林を中心として、スギ林衰退の実態を明らかにし、その機構解明と影響予察法の開発を行うために、酸性降下物等の動態、樹木生理の特性、土壌の緩衝能等について調査・研究を行い次の成果を得た。
 関東地方及び関西地方におけるスギ衰退の実態を調査・解析し、高齢で高樹高のスギの衰退が進んでいること、孤立木や林縁木の衰退が顕著であり林内では衰退が軽微であること、衰退は現在でも進行していることを明らかにした。
 スギ林において林外雨、林内雨、樹幹流のpH及び溶存成分を測定し、酸性降下物の流入量とその特性を明らかにした。また、スギの樹幹流の酸性化の実態と樹幹周囲の土壌の酸性化の実態を明らかにした。
 土壌から揮散する窒素及び硫黄化合物の測定法を開発し、揮散量の推定法を確立した。
 人工酸性雨散布実験の結果、現在観測されている程度の酸性度の降雨ではスギに対して直接の被害はないと判断した。
 蒸散量が多く通導抵抗が高いというスギの水分生理の特性を明らかにし、気温の上昇や乾燥化の実態からこの特性は衰退に係わる因子と推定した。また、成長と環境因子とを統計的に解析した結果、衰退に対する寄与率の高いのは気温であることを明らかにした。
 スギ林の窒素及び硫黄の吸収量を明らかにするとともに、衰退度が高くなるに従って葉のアルミニウム濃度が高くなり、カリウム濃度が低下することを明らかにした。
 土壌の緩衝能の測定法を開発するとともに森林土壌の緩衝能の発現機構を解析し、緩衝能には炭酸塩、塩吸着、交換性塩基及びアルミニウムの溶出の4段階あることを明らかにした。また、主要森林土壌の緩衝能を測定し、森林土壌の表層部では緩衝能が低いこと、すでに酸性化している土壌の緩衝能は低いことを明らかにした。


[キーワード]

 酸性降下物、スギ林衰退、水分生理、土壌の緩衝能、樹幹流