研究成果報告書 J92B1320.HTM

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[B−13.地球温暖化による人類の生存環境と環境リスクに関する研究]

(2)動物媒介性感染症の拡大予測に関する研究


[研究代表者]

 

国立環境研究所

●小野雅司

[環境庁 国立環境研究所]

 

環境健康部 環境疫学研究室

●小野雅司

地球環境研究グループ

●安野正之

(客員研究員) 杏林大学医学部

●田中 寛

琉球大学医学部

●宮城一郎

群馬大学医学部

●鈴木 守

長崎大学熱帯医学研究所

●高木正洋

国立予防衛生研究所

●二瓶直子

(委託先)

 

(株)ケー・シー・エス

●高尾精一


[平成3〜4年度合計予算額]

17,840千円


[要旨]

 地球の温暖化がマラリアの流行に与える影響を明らかにするため、アジア地域におけるマラリア北限の一つである中国雲南省において、中国側研究機関と共同で、疫学的観点から総合的な現地調査(マラリアの疫学調査、媒介蚊の生態調査、気象モニタリング、関連資料の収集、等)を進めてきた。その結果、調査対象地域住民の熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫に対する抗体価頻度分布曲線、及び対象地域内診療所に常駐したヘルスワーカーによる継続観察調査結果から、本地では熱帯熱マラリア、三日熱マラリアとも年間を通じて流行しており、雨期初旬から増加し、雨期の終了とともに減少することが明らかになった。また、これに対応する形で媒介蚊の発生消長が観察され、マラリア流行に気温、降水量等の気象要因が大きく関与していることが明らかになった。現在引き続いて現地調査を継続中であり、高度流行地から低度流行地、非流行地にいたる詳細なデータを収集中しつつある。
 今後、現地調査から得られた結果、そしてマラリア流行に関連すると考えられるその他の社会経済的諸情報を用い、マラリア流行モデルを利用したシミュレーションにより、温暖化に際してのマラリア流行の正確な予測を行う。
 また、わが国に関しても、宮古島、石垣島においてコガタハマダラカの生息分布状況に関する詳細なデータを数多く蓄積しつつあり、温暖化に際してのわが国でのマラリア流行の有無について正確な予測が可能となろう。


[キーワード]

マラリア、コガタハマダラカ、気象条件、中国雲南省、沖縄列島