研究成果報告書 J92B1220.HTM

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[B−12.地球温暖化による都市環境の影響評価及び対策に関する研究]

(2)都市エネルギーシステムへの影響評価及び対策に関する研究


[研究代表者]

 

東京大学

●松尾友矩

[環境庁 国立環境研究所]

(委託先)

 

東京大学

●松尾友矩、花木啓祐、一ノ瀬俊明


[平成2〜4年度合計予算額]

14,493千円


[要旨]

 地球温暖化は化石燃料を利用する近代文明の当然の帰結であるが、そうしたエネルギー消費の大部分が都市で行われており、都市の責任は大きい。一方都市には多くの人々が生活しており、温暖化の影響も大きなものであろう。本研究では都市のエネルギー消費をとりあげ、地球温暖化が都市のエネルギー消費構造(エネルギーシステム)に及ぼす影響及び都市のエネルギー消費を抑制するために「都市代謝システム」がとるべき対策についての基礎的な情報を整理した。
 都市のエネルギー消費はその社会的・経済的・地理的条件によって大きく異なる。温暖化の影響を気温上昇の影響と読み替えても、都市の特性の違いが異なる影響をもたらす。本研究ではまず都市のエネルギー消費量の概略を推計し、消費構造を定量化する手法を検討した。次に都市の国際的・地域的な多様性の中でのエネルギー消費構造を調べるため、アメリカの各州、中国の各省・市、バンコク及び日本の7大都市について比較を行った。各都市の気候とエネルギー消費量との関係を整理する中で、燃料種毎に暖房デグリーマンスと家庭部門の人口1人当たり消費原単位との関係が調べられ、日本での灯油及び中国での石炭の消費量が暖房デグリーマンスと高い正の相関を持つことが示された。気温上昇時のインパクトは国によって異なり、日本では寒冷な都市においてより大きなインパクトがあることが示された。しかし暖房需要へのインパクトは、温暖化が進むとエネルギー消費量が減少する方向へ働くものである。冷房のエネルギー消費を明確に分離抽出することは出来なかったが、暖房の場合よりその影響は小さいことが考えられる。都市におけるエネルギー消費を抑制するには、都市内の未利用エネルギーをいかに有効に回収するかが課題である。下水熱・ゴミ焼却熱の有効利用を進めるための都市代謝システムのシミュレーターを開発し、東京都区部での適用性の検討を行った。これは地理情報と原単位法にもとづく熱の需給関係の分布を求め、適正なエネルギー利用システムを提案するシミュレーターである。


[キーワード]

エネルギー、都市、原単位、気候、シミュレーション