研究成果報告書 J92B0410.HTM

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[B−4.温室効果気体等の大気化学反応過程の解明に関する研究]

(1)温暖化関連気体の大気中での光化学反応機構の解明に関する研究


[研究代表者]

 

国立環境研究所

●鷲田伸明

[環境庁 国立環境研究所]

 

地球環境研究グループ 温暖化現象解明研究チーム

●坂東博

大気圏環境部 大気反応研究室

●三好 明、今村隆史、關 金一

[客員研究員]

 

東京理科大学理学部

●佐藤 春雄


[平成2〜4年度合計予算額]

73,858千円


[要旨]

 本研究では温暖化関連気体の大気中での光化学反応機構を解明するために、国立環境研究所にある内容積6m3の光化学チャンバーを用いて、主として植物起源炭化水素(イソプレン、テルペン)のNOx存在、非存在下での光酸化実験を行った。NOx存在の条件は人為的汚染に近い条件であり、NOx非存在の条件は人為的汚染が極端に少ない条件である。実大気の条件はその中間にあり、両条件の実験から実大気中での反応を予測した。光酸化の反応生成物はNOx存在、非存在で大きく異なることが判明した。さらに本研究においては、特にバックグラウンド大気条件での植物起源炭化水素に起因する、大気中へのCOの放出量の見積りを行った。大気中のCOの放出量は大気中のOHラジカル濃度をコントロールする重要なファクターになるからである。その結果、イソプレンではOHラジカル反応によるCOの放出量は炭素換算で133Tg/年であると求められた。α−ピネンを代表とするテルペンでは、OHラジカル反応によるCOの放出量は炭素換算で22Tg/年で、OHラジカル反応とオゾン反応の両者によるCOの放出量は炭素換算で96Tg/年であった。その結果、イソプレンとテルぺンを合わせた植物起源炭化水素によるCO放出量は炭素換算で229Tg/年となり、Loganらの提案している240Tg/年とよい一致をみた。上記の研究の他、光化学チャンバーを用いたフロン代替品の対流圏での光酸化反応機構の研究も行われた。


[キーワード]

イソプレン、テルペン、α−ピネン、CO放出量、代替フロン