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[キーワード]証券市場、財務ディスクロージャー、啓発された投資家、リスク、リターン

[RF-079 企業の環境対応の促進要因と効果に関する研究]

(2)企業の環境対応(環境ディスクロージャーおよび環境会計を含む)と証券市場の関係
  に関する研究[PDF](788KB)

  大阪学院大学 流通科学部

奥田 真也

  [平成19~20年度合計予算額] 1,780千円(うち、平成20年度予算額 1,084千円)

[要旨]

  昨今、社会責任活動(Corporate Social Responsibility: CSR活動と以下略す)に対して戦略的に取り組む企業が増えてきている。また、社会責任投資ファンドが最近多数設定されるようになるなど、CSR活動を積極的に評価する啓発された投資家も日本に定着しつつあるように思われる。このように、CSR活動が資本市場における資金調達に影響を与える可能性は今後さらに増す可能性が高い。
  これらの問題に対して、本研究では、資本市場理論を中心としたファイナンス的観点から企業の環境対応やCSR対応が資本市場における企業行動とどう関連しているかについてを解明することを試みている。その中でも本研究では (1)CSR活動と財務ディスクロージャーの関係について、(2)CSR投資に関する情報に対する証券市場の反応について、(3)SRIファンドのリスク・リターン特性について、(4)CSR活動とリスクの関係について、の4つの課題を取り扱っている。まず(1)においてCSR活動と証券市場に供給される情報量の関係について取り扱う。これによって、CSR活動と株価形成の間の関係を理論的に検証する。この情報が短期及び長期において市場にどのように受け止められているかを検証するのが、(2)から(4)の研究課題である。特に(2)においては短期の証券市場の反応を、(3)と(4)においてはリスクも鑑みた長期の証券市場の反応を検証する。これにより包括的に証券市場とCSR活動との関係が明らかになる。
  その結果、(1)啓発された投資家を増加させることで、CSR活動が盛んになること、(2)短期的には証券市場はCSR投資情報に必ずしも好意的な反応を示していないが、(3)SRIファンドのリターンはリスクに見合った低いものとなっており、(4)CSR活動の増加がリスクを低減させる、ことからCSR活動により少なくとも一部のリスクは削減できると証券市場は評価していることがわかった。