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[キーワード]テキストマイニング、ステークホルダー・アプローチ、コーポレート・レピュテーション、企業情報開示、CSR

[RF-079 企業の環境対応の促進要因と効果に関する研究]

(1)企業の環境対応(環境ディスクロージャーおよび環境会計を含む)の促進要因と効果に関する研究
―特に非財務的尺度に着目して―[PDF](1,014KB)

  同志社女子大学
  現代社会学部 社会システム学科


記虎 優子

  [平成19~20年度合計予算額] 2,613千円(うち、平成20年度予算額 959千円)

[要旨]

  企業が社会責任(CSR:Corporate Social Responsibility)に対する取組みの一環として地球環境問題に積極的に取り組んでいくべきことは、最近では国内外で広く認識されるようになっている。しかし、具体的なCSRの取組みは、企業によって異なり、多岐に渡っている。それだけに、企業がなぜCSR対応に自発的に取り組むのか、またそれによって企業が実際に何らかのメリットを享受できているのかについては、十分に解明されていない状況にある。
  本研究では、ステークホルダー・アプローチと整合的に、企業の情報開示を中心に、企業の環境対応やCSR対応の促進要因と効果を解明することを試みている。その際、CSRに対する基本方針についてのテキスト型データ(textual data)、CSRに対する企業の取組み度合いを示すCSR指標、およびコーポレート・レピュテーション(企業の評判)といった非財務的尺度に着目している。
  研究の結果、CSRに対する基本方針のテキスト型データに対してテキストマイニングを行うことにより、日本では実務界を中心に、CSRとコーポレート・ガバナンスを表裏一体とみる見解が広がりつつある中で、こうした見解とは相反する実証的証拠を提示した。また、先行研究においては、企業の情報開示の規定要因として、定量的な企業特性にのみ関心が向けられている中で、CSRに対する基本方針のテキスト型データに対してテキストマイニングを行うことにより、企業の情報開示の規定要因の1つに、CSRに対する捉え方や考え方という定性的な企業特性があることを示した。そして、企業の情報開示という具体的なCSRの取組みが、CSRに対する捉え方や考え方と整合的に実践されていることを実証的に明らかにした。さらに、CSR指標やコーポレート・レピュテーションといった非財務的尺度に着目することで、企業が戦略的なステークホルダー対応としてのCSRの取組みの一環として情報開示に取組み、その結果としてもくろみどおりに多様なステークホルダーと良好な信頼関係を構築・維持することができていることを実証的に示した。