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[キーワード]バイオエタノール、FAME、燃料性状、車両影響、排ガス影響

[RF-078 アジアにおけるバイオ燃料の持続的需給システムの構築に関する研究]

(2) フィリピン産バイオ燃料の利用に伴う自動車性能及び環境性能に関する研究[PDF](806KB)

  財団法人 日本自動車研究所
  総合企画研究部


紀伊 雅敦(平成19年度)

  財団法人地球環境産業技術研究機構
  システム研究グループ


紀伊 雅敦(平成20年度)

  [平成19~20年度合計予算額] 5,841千円(うち、平成20年度予算額 3,126千円)

[要旨]

  バイオ燃料の需要側の持続可能性の影響要因として、その導入に伴う車両影響、環境影響があげられる。その影響として、部材の腐食やスラッジの発生に伴う車両故障の可能性、および含酸素率の増加に伴うNOx排出量の増加などが指摘されている。加えて、バイオ燃料はその流通段階での品質劣化の可能性が従来燃料と比較して高いことも指摘されている。エタノール混合ガソリンについては水分の吸収による相分離、共沸現象によるエバポレーティブエミッションの増加、バイオディーゼル燃料である脂肪酸メチルエステル(FAME)については酸化安定性の問題が明らかとなっている。
  本年度調査では、既往のバイオ燃料の車両影響調査をレビューし、生じうる問題点を整理すると共に、フィリピンを対象に市販されているバイオ混合燃料の性状分析を行い、車両、排出ガス等への影響を分析した。
  その結果、既往調査ではエタノール混合燃料はアルミ等への腐食性を有するため5%以上の混合では車両側の対応が必要なこと、テールパイプエミッションではNOxが増加する可能性があること、FAME混合燃料では酸化安定性の確保が車両安全上重要であること、試験条件によってはNOxが増加する可能性があることを把握した。
  次にフィリピンにおける市販バイオ燃料の分析結果より、現在販売されているE10ガソリン、B1ディーゼル燃料は水分管理、酸化安定性はPhilippines National Standard(PNS)、ASEAN Automotive Federation(AAF規格)を満たしていることが明らかとなった。今回サンプリングした燃料は大手販売業者のものであり、また、導入初期であることから十分な品質管理が行われていると考えられる。ただし今後中小事業者がこれらの燃料を販売する場合や混合率を高める場合、品質の安定性を保証するにはモニタリングが従来以上に重要になると考えられる。