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[キーワード]海底境界層、潮汐流,波浪,底面せん断応力、底泥の巻き上げ

[RF-074 海洋環境変動に及ぼす堆積物再懸濁現象の影響予測に向けた物質動態詳細測定法の開発]

(1)沿岸波浪および潮汐流作用下における侵食と再懸濁機構の把握[PDF](1,355KB)

  独立行政法人港湾空港技術研究所
  海洋・水工部

中川 康之

  [平成19~20年度合計予算額] 13,354千円(うち、平成20年度予算額 6,489千円)

[要旨]

  本研究では、有明海湾奥部にて現地観測を実施し、泥質堆積物直上における流速と懸濁物濃度の詳細測定を行い、潮流や波浪等の外力に対する海底泥の移動に関する応答特性について検討した。現地観測では、底面付近における詳細な流速場の把握が可能な超音波式流速計等を導入し、底面付近濁度との同時観測により、堆積物の移動(巻き上げ)に関与する底面せん断応力および巻き上げられた懸濁物の輸送量(フラックス)の評価を行い、潮汐流による乱れの増大とそれに伴う巻き上げフラックスが増大する関係を定量化した。一方、海洋に面した河口沿岸部における底泥の輸送においては、外洋から入射してくる波浪の作用が重要であるものの、その影響に関する定量的な評価は必ずしも充分ではない。そこで本調査においては、現地底泥を敷設した大型の実験水槽を用いて、気象擾乱時の高波浪を想定した外力作用下での底泥の巻き上げ現象の再現を試み、波浪作用に伴う再懸濁時の物質動態測定手法の検討も行った。本実験では、現地底泥特有の鉛直方向に侵食強度が異なる堆積環境を反映した底泥の巻き上げ現象を再現し、外力に対する侵食速度に加え溶存酸素等の水質の変化も捉えることが可能であることを確認した。これにより、実海域での環境変動に大きな影響を与えるものの、現地観測での実態解明が困難な高波浪時における海底での物質移動特性について、その動態を定量的に評価可能な実験手法を確立した。