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[キーワード]Stir Bar Sorptive Extraction(SBSE),相対定量データベース,抱合体処理、簡易スクリーニング,ヒト尿試料

[H-063 アジア地域における経済発展による環境負荷評価およびその低減を実現する政策研究]

(2)環境試料及び生体試料における化学物質汚染の探索的解析[PDF](922KB)

  熊本県立大学
  環境共生学部 食環境安全性学講座


有薗 幸司

<研究協力者>

 

  熊本県立大学  環境共生学部

吉 赫哲

  [平成18~20年度合計予算額] 47,203千円(うち、平成20年度予算額 15,430千円)

[要旨]

  当研究ではこれまでに、Stir Bar Sorptive Extraction(SBSE)- 加熱脱離(TDU)-GC/MSおよび、相対定量データベースを用いて簡易スクリーニングを行い、ヒト尿試料中の化学物質の迅速簡便な多成分一斉分析法による簡易スクリーニング法の構築を行ってきた。しかしながら、尿試料は生体試料であることから代謝による抱合体化を考慮した分析法の必要性が示唆された。そこで本研究では、東南・南アジアの地域(Indonesia, Viet Nam, Nepal, Papua New Guinea.)で採取されたヒト尿試料を用いβ - glucuronidaseによる抱合鎖の切断方法を行い、SBSE法を用いて TDU- GC/MSで尿サンプルの分析を行った。農薬・環境汚染物質用相対定量データベースを用いて解析した結果、尿サンプルから検出された化学物質は40種以上あるが,各尿サンプルから検出された抱合鎖処理なしでは2,4-Di-tert-butyl phenol; BHA; Dibutyl phthalate; Diethyl phthalate; BHTなどの6種が多く検出された。また,抱合鎖処理ありで,頻繁に検出された化学物質はLauryl alcohol;o-Acetyltributyl citrate;Methyl palmitate;Erucamide;DEPなどの5種である。これらの化学物質は年齢,性別の差は大きくなかった。また,全体の東南アジア(4カ国)尿サンプルから検出された残留化学物質は国,地域によって最も頻出する種類が異なった。これは,国,地域によって人々の生活習性が異なり,周辺環境の違いを示した。また,抱合鎖処理ありとなしでは検出される化学物質が異なる傾向が見られた。