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[キーワード]技術普及、制度、太陽光発電、エネルギー需要、サスティナビリティ指標

[H-062 制度と技術が連携した持続可能な発展シナリオの設計と到達度の評価に関する研究]

(2)技術開発の制度を考慮した目標設定と技術のサステイナビリティへの寄与の評価[PDF](1,887KB)

  大阪大学大学院
  工学研究科環境・エネルギー工学専攻


下田吉之・山本祐吾・山口容平

<研究協力者>

 

  早稲田大学 高等研究所

齊藤 修(平成18~19年度は研究参画者)

  [平成18~20年度合計予算額] 25,843千円(うち、平成20年度予算額 5,251千円)

[要旨]

  サステイナブルな社会を達成するための技術・社会転換シナリオ作成支援のため、技術普及の課題を踏まえ、その普及ポテンシャルとシナリオを提示することを目的とし、具体的課題として(1)「技術と制度の連携」による技術普及のケースモデル作成、(2)民生家庭部門のエネルギー需要予測と物質フロー分析、(3)技術が普及した社会システムのサステイナビリティ評価、を実施した。(1)では、太陽光発電、太陽熱温水器に対する消費者選好を調査し、普及によって得られるCO2排出量を推計した。太陽光発電、太陽熱温水器を戸建住宅全てに普及させた場合、それぞれ家庭部門CO2排出量の3%、16%が削減可能となること、太陽光発電の普及施策では設置費用の補助の方が発電電力の固定費買取制度より費用対効果で優れていること、太陽熱温水器の普及には技術イメージ改善が不可欠であることがわかった。(2)では、上海市の民生家庭部門を対象として、2030年までのエネルギー需要予測と各種省エネルギー手法の普及による効果を推計した結果、各種省エネルギー技術を総合的に導入することによって2030年におけるエネルギー需要の20%程度が削減可能であること、省エネ投資に関する主体の選好を考慮すると、技術普及によるCO2削減効果は技術ポテンシャルの2/3程度となること、がわかった。さらに、省エネルギー技術への置き換えによって生じる廃家電製品ついて、ライフスタイルの転換に関する代替案が物質フロー形成やCO2排出量に及ぼす影響を定量的に明らかにした。(3)では、中国上海市における都市更新に関する代替案の都市サステイナビリティへの寄与を評価し、上海での急速な人口集中と都市活動の拡大による資源消費増大に対しては、多極分散型の集積拠点を形成する施策が有効であり、2020年時点の総物質需要量は傾向延長ケースに比して約18%の削減が可能となることを明らかにした。また、都市エネルギー代謝系に着目し、各種対策による持続可能性の変化を表現しうる指標群を提案し、これらを大阪市のエネルギーフロー評価に適用することで、指標の実用性や課題を示した。