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[キーワード]省エネ、太陽熱温水器、太陽光発電、補助金、FIT

[H-062 制度と技術が連携した持続可能な発展シナリオの設計と到達度の評価に関する研究]

(1)理論経済学と実験経済学の相互フィードバックによる環境保全制度設計の検討[PDF](449KB)

  大阪大学 社会経済研究所

西條辰義

<研究協力者>

 

  広島市立大学 国際学部

沈俊 毅

  日本学術振興会

赤井研樹

  [平成18~20年度合計予算額] 60,690千円(うち、平成20年度予算額 21,000千円)

[要旨]

  本研究では技術や地域の特性を反映させた地球環境保全制度の設計を検討する。このために、省エネと環境保護が国策となった中国において最も都市化が著しい上海を対象として、 どのような技術をどのような制度で普及させるのが持続可能な発展において望ましいのかを検証する。初年度では、中国における経済成長と環境問題、そして国際貿易と環境問題の関係について実証的に分析し、これと同時並行で、中国人の公共財投資に対する選択行動および上海においてどのような社会的・経済的特性を持つ市民が環境への関心度が高いのかを経済実験とアンケート調査を行い、計量モデルを用いて分析した。また、上海において、中国政府が2005年3月に開始した家電製品(エアコンと冷蔵庫)のエネルギー効率ラベル制度に関して、消費者の意識の調査を行った。二年度目は、中国と日本における太陽光発電装置・太陽熱温水器(屋根設置型省エネ機器)の選択調査実験を行い、チョイスモデルを用いて分析した。さらに、工学研究科と共同で、上海における業務部門の省エネルギーへの取り組みに関するアンケート調査を行った。最終年度では、次世代型省エネ給湯器に着目して前年度の太陽熱温水器とそれ以外の省エネ給湯器に対する日中での選択調査実験を行い、チョイスモデルを用いて分析した。以上の分析から、中国人はお金に敏感でコストパフォーマンスに優れるものならば貪欲に導入する経済合理性が日本人よりも強いことがわかった。中国での持続可能な発展のためには、コストパフォーマンスに優れた省エネ技術として太陽熱温水器などの省エネ機器の普及や、コストが高い技術については補助金やFITなどのコストを減らす制度補助によって省エネ技術普及を促進可能であると考えられる。