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[キーワード]知的生産性、知的生産性評価ツール、温熱環境、被験者実験、実測調査

[H-061 28℃オフィスにおける生産性・着衣・省エネルギー・室内環境に関する研究]

(1)生産性・経済性に関する研究[PDF](1,292KB)

  早稲田大学 創造理工学部建築学科

田邉 新一

<研究協力者>

 

  早稲田大学

西原 直枝

  早稲田大学 理工学研究科

羽田 正沖

  [平成18~20年度合計予算額] 20,110千円(うち、平成20年度予算額 5,641千円)

[要旨]

  サブテーマ1では、室内環境質と生産性の関係を定量化し、COOL BIZの効果を評価するとともに、執務者の作業効率と省エネルギー性を両立させる28℃オフィス環境の最適化について検討することを目的とした。平成18年度は、WEBサーバにデータ蓄積可能な知的生産性評価ツールを開発した。認知能力分類を用いて執務時に必要な能力の特徴を把握するための調査を行った。作用温度25.5°C/ 28.5°Cと換気量大/小を組み合わせた被験者実験を行った。空気受容度から算出した不満足者率は、高温、換気量の少ない条件において高かった。温熱環境、空気質環境や室内環境全般に関する申告が不満側になるほど正答数が低い関係が見られた。平成19年度は、温熱満足度の向上による知的生産性の改善効果を検討した。着衣量の緩和や個別制御を可能とする温熱環境の簡易な改善策を導入する実験を行った。温熱満足度が高いとき、作業成績が高く疲労の個人訴え率が低かった。また、夏季室温緩和設定オフィスにおいて現場実測を行った。無対策で空調機器の温度緩和運転を行うと運用上の問題が生じることがわかった。温熱環境に関する不満足者率は70%を超えており、着衣のみの対策では作業効率は低下していた。主観作業能力および疲労度の主観申告は温熱満足度との関係が強かった。中間評価の指摘を受けて、研究成果統合手法の検討を行った。平成20年度は、25.5°C、28.5°C、31.5°Cとした温熱環境下で被験者実験を行った。平成18年度から20年度の被験者実験結果を統合して温熱満足度と作業効率の関係、作業効率の予測モデルを作成した。夏季室温緩和設定オフィスにおける執務温熱環境や改善策を導入した場合の空調設備消費エネルギーをシミュレーションから求めた。エネルギー削減を光熱費換算し、作業効率の変化を賃金で換算し、夏季室温緩和設定オフィスの知的生産性を評価した。室内温度28℃については、空調方式やその定義によって形成される室内の温熱環境、また、そのための消費エネルギー量には違いがあるため、本研究では、居住域の空気温度を28℃以内とすることを28℃オフィスの定義とした。室温設定を28℃とすることがCOOL BIZの前提となるのであれば、着衣や気流の工夫、先駆的な空調システムなどと組み合わせることが必須となることがわかった。