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[キーワード]大型類人猿、森林再生、緑の回廊、ヘキサチューブ、環境教育

[F-061 大型類人猿の絶滅回避のための自然・社会環境に関する研究]

(4)植林による森林再生と分断化された生息地の再連結についての研究[PDF](1,327KB)

  京都大学 霊長類研究所
  思考言語分野


松沢哲郎

  京都大学 霊長類研究所
  生態機構分野


橋本千絵

<研究協力者>

 

  京都大学 霊長類研究所
  思考言語分野


大橋 岳

  京都大学 霊長類研究所
  生態機構分野


笠原 聡、早川祥子

  ギニア共和国 ボッソウ環境研究所

Makan Kourouma

  京都大学 野生動物研究センター

Tatyana Humle

  リエージュ大学(ベルギー)

Nicolas Granier

  ケンブリッジ大学(イギリス)

Kathelijne Koops・Susana Carvalho

  ハイトカルチャ株式会社

長谷川 亮

  京都大学大学院
  アジアアフリカ地域研究研究科


山越 言

  [平成18~20年度合計予算額] 48,179千円(うち、平成20年度予算額 15,479千円)

[要旨]

  人口増加による人間の新環境への進出の結果、各地で大型類人猿と人間の生息域が隣接するようになった。このような地域では、人間の活動によって大型類人猿の生息域は分断されており、手つかずの森林を囲い込み、大型類人猿を保護するという手法は成り立たない。分断化された生息地を植林によってつなぐ「緑の回廊」が有効な手段と考えられる。ギニア共和国ボッソウでは、チンパンジーの糞から採取した種を発芽させて苗木をつくり、それをサバンナに移植した。移植した苗はヘキサチューブと呼ばれるポリプロピレン製の筒で保護した。しかし、ヘキサチューブを設置するまえの苗木移植過程でその多くが枯れてしまうことがわかった。苗木の定着率を向上させるため、平成19年度より東屋をサバンナに建設し苗木を日射から守る試みを新たに導入した。苗木の初期の定着率は良好であった。この結果を受けて平成20年度も東屋をあらたに15棟設置し、最終的に計23棟の東屋をサバンナに点在させた。20年度には、苗木だけでなく森林内の実生を東屋下に移植しても、枯れずに生存できることを確認した。東屋の導入は、パッチ状の植林を施すさいに有効な手段になることがわかった。また、植林における挿し木の有効性を新たに検討した。平成19年度、事前の調査によりSpondias cythereaが挿し木に有効な樹種と判断し、実際にサバンナへ1523本の挿し木をおこなった。平成20年度の時点で成育は順調であった。植林地では、自発的に挿し木を用いた植林をおこなう者もあらわれた。こういった一連の植林活動は、地域住民の関心を大いに集めることができたと考えられた。また、ウガンダ共和国カリンズ森林保護区において、チンパンジーの糞から見つかった種子や森林内で見つかった実生から植林のための苗床を作り、完全に開いた場所とわずかに木が生えた場所を選び、ヘキサチューブ有りとなしの2つのやり方で植林をおこなった。その結果、ヘキサチューブの有効性が明らかになった。