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[キーワード]アジア都市農村計画、土建材、廃棄物、水・栄養塩循環、人口動態

[RF-067 アジア大都市周縁における循環型社会を基調とした都市農村融合と戦略的土地利用計画]

(1)アジア大都市周縁における循環型社会を基調とした都市農村融合と戦略的土地利用計画([PDF]10,824KB)

  東京大学サステイナビリティ学連携研究機構
  特任助教

原 祐二(課題代表者)
本多 了・平松 あい・関山 牧子

<研究協力者>

  タイ・カセサート大学環境工学部助教授

Chart CHIEMCHAISRI

  タイ・チュラロンコン大学建築学部講師

Danai THAITAKOO

  中国・中国科学院資源環境学院教授

石 敏俊

  中国・天津農学院園芸系教授

楊 静慧

  中国・南開大学環境工学院教授

孫 紅文

  中国・南開大学環境工学院講師

張 彦峰

  [平成18~19年度合計予算額] 19,304千円(うち、平成19年度予算額 9,307千円)

[要旨]

  経済成長著しいアジアの国々では、都市への人口集中にともなう郊外化が進み、都市と農村の無秩序な混在による水質汚染、土壌汚染、交通公害、自然災害などの環境問題が深刻化している。こうした問題を解決するためには、都市と農村が隣接することが、むしろ双方にとってメリットとなるような新しい計画理念を構築する必要がある。こうした観点から本研究では、タイ・バンコク首都圏および中国・天津市の都市農村混在地域を事例として、「土地利用等の地理情報」「土建材、水、廃棄物等、ものの流れ」「人口移動」を現地調査により把握し、それらを指標として、地理情報システム(GIS)により調和的な都市農村計画をビジョン提示した。
バンコク首都圏においては、郊外のノンタブリ県・バンメナン地区を対象とした。関連機関を訪問し、詳細な人口統計、デジタル地形図、空中写真などの一次資料、公開行政資料や既刊文献といった二次資料を収集した。現場では、灌漑農地の転用による住宅地開発の地形改変測量調査、世帯訪問による廃棄物処理に対する意識調査・世帯構成の把握、のべ半月程度の家庭廃棄物発生量・空間分布計測調査、さらには一年半にわたり定期的な水量・水質モニタリングを実施した。得られたデータを基に、対象地域の灌漑水路区を物質循環空間原単位と認定、都市-農村間の栄養塩の現状フローを定量化し、適正循環をもたらす人口密度上限値を推定した。さらには、2020年に5000人加増した場合を想定し、①現在の道路網の主要交差点において高層高密開発、②現在の水路網および道路網に沿って低層分散開発の二つのシナリオを、約1:3000スケールにてデジタル図化した。①②両シナリオにおける土地開発量、廃棄物発生・回収量、水路を介した窒素・リン循環可能量について、GISを用いて計算し、①と②の比較により適度な都市農村混在ビジョンについて検討した。
一方、天津市においては、郊外4区(北辰・東麗・津南・西青)を調査対象地に定めた。政府各機関の訪問による統計・地図資料の収集と、役所・集落訪問視察と土地利用動向に関する構造化インタビュー調査を並行して進めた。デジタル土地利用図解析による都市化動向、廃棄物発生量の増加傾向、水環境の悪化について把握し、郊外区における今後の都市農村計画のあり方について、1:50000空間スケールにて考究した。