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[キーワード]GOSAT、二酸化炭素、フーリエ変換分光計、差分吸収型ライダ、ポイントソース

[RF-063 Post-GOSAT時代の衛星からの全球温室効果ガス観測に関する研究]

(1)Post-GOSAT時代の衛星からの全球温室効果ガス観測に関する研究に関する研究[PDF](1,355KB)

  独立行政法人国立環境研究所 地球環境研究センター
  地球環境データベース推進室


松永恒雄

  独立行政法人国立環境研究所 地球環境研究センター
  陸域モニタリング推進室


小熊宏之

  独立行政法人国立環境研究所 地球環境研究センター
  衛星観測研究室


森野 勇

  [平成18~19年度合計予算額] 19,304千円(うち、平成19年度予算額 9,307千円)

[要旨]

  本研究では、GOSAT(温室効果ガス観測技術衛星、2008年度中に打上げ予定)の運用終了後にあたるPost-GOSAT時代の衛星からの全球温室効果ガス観測のシナリオを作成すると同時に、その実現に必要な技術的課題と解決への展望を示し、Post-GOSAT時代の衛星観測計画策定に資することを目的とした。
炭素収支に関わる研究者らにヒアリング等を実施した結果、a)GOSATと同様の成功基準をより確実にかつより小さいメッシュサイズ及び短い平均時間で達成できる仕様のセンサ/観測と、b)地域レベルの炭素収支/ポイントソースの評価に利用出来るデータの取得に関する要望がある事が分かった。
また現在世界各国で開発が進められているCO2用差分吸収ライダ(DIAL)の技術動向を調査し、さらにそのうち日本が国際競争力を持つ1つの方式について、衛星に搭載した場合のリソース検討を行った。その結果、現時点または近い将来に利用可能な技術によりGOSATを上回る性能を実現できる観測シナリオがある事が分かった。
一方 衛星による全球温室効果ガス観測データと二酸化炭素フラックス推定精度の関係をインバースモデル等を用いて評価した既往研究を、特にGOSAT仕様決定後に発表されたものを中心に精査し、その結論を取りまとめた。データ点数が多くなるためランダム誤差の影響は大幅に低減される一方、バイアス誤差の影響が支配的になる事が分かった。また22-分割モデルで0.8ppm、66-分割モデルで1.5ppm程度の二酸化炭素濃度推定精度になる場合、衛星データを単独でインバースモデル解析に利用しても、地上観測データを使った場合と大きくは変わらない事が示唆された。  さらに地域レベル(数十?数百km)の二酸化炭素フラックス推定を地点間の二酸化炭素濃度差観測から行う場合についても検討した。日本の都市域で見られる濃度差の場合には、GOSATでは検出出来ない可能性のある事が示された。一方DIALは十分な精度を持つ事が可能であるが、対象地域によってはDIALが最も高い精度を実現する夜間には濃度差が解消される事がある事も分かった。