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[キーワード]ネスティング、大気海洋結合モデル、ダウンスケール、気候形成、気候変動

[RF-061 Super-GCMの開発およびそれを用いた温暖化時のメソ気象現象変調に関する研究]

(4) 雲・降水を介した多重スケール相互作用の評価に関する数値的研究[PDF](237KB)

  北海道大学大学院理学研究院

稲津 將

  [平成18~19年度合計予算額] 2,030千円(うち、平成19年度予算額 1,530千円)

[要旨]

  本サブテーマでは、既存の大気海洋結合大循環モデルに既存の領域気候モデルを双方向ネスティングで組み込むシステムを開発し、サブテーマ1で開発されるFlexNestとその結果を比較することに主眼がある。平成18年度はこのシステムの開発に集中し、年度末にシステムの完成に漕ぎ付けた。基礎的な調査として、大循環モデルと領域モデルの解像度比を変えたデモンストレーション実験を行った。季節は冬前、領域モデルをネストした場所は北海道である。数値積分中で温帯低気圧が北海道を通過したケースに注目した。その結果、このようなネスティングシステムにおいては、解像度の比は1:5程度にしておくのがせいぜいであることがわかった。例えば、1:20にしてしまうと、前線の構造を飛び越えて小地形性の降水を計算するため、リアリティーが低いばかりか、計算機不安定の原因となりかねないことがわかった。さらに、システムは解像度比が1:5である限りにおいて、比較的安定的に積分が可能であり、領域モデルをアンデス山脈やインドネシア多島海など熱帯域をネストすることも可能であった。このように様々な場所をネストできるシステムを開発したことは、本サブテーマの特筆すべき成果といえる。また、大気海洋結合モデルと領域モデルの双方向ネスティングは世界に例を見ない新奇性のあるシステムとも言える。