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[キーワード]ライフスタイル、マスメディア、社会調査、日本中国比較調査

[H-052 ライフスタイル変革のための有効な情報伝達手段とその効果に関する研究]

(1)生活様式変革のための有効な情報伝達手段とその効果に関する国際比較研究[PDF](872KB)

  独立行政法人国立環境研究所
  社会環境システム研究領域環境計画研究室


青柳みどり

<研究協力者>

 

  (株)ニッセイ基礎研究所

栗林敦子

  立教大学 非常勤講師

品田知美

  School of Government Peking University
  (北京大学)

Professor Shen Mingming
Ms. Lao Jie (Ph.D program)
Dr. Yan jie (Post-Doctoral fellow)

  独立行政法人国立環境研究所社会環境システム研究領域
  環境計画研究室ポスドクフェロー


三瓶由紀

  [平成17~19年度合計予算額] 44,376千円(うち、平成19年度予算額 11,042千円)

[要旨]

  これまで、環境問題に関連して人々の関心や意識などは、あるトピックに関連して、そのトピックを取り巻く地域住民などを対象として狭い範囲で調査されてきたが、本課題代表者らは1990年代中頃から継続して日本全国の成人男女を対象として「世論」という形での人々の環境問題を中心とする関心や意識を調査することにし、調査結果を公表してきた。本課題で既に4時点の調査データの比較が可能となり、1997年以降の10年間で、ゴミ廃棄物問題への関心の継続的な高さと、ここ2、3年の地球温暖化問題の急速な関心の高まりを明らかにした。また本年度は、人々が実感として温暖化を感じ始めていることも明らかにし、その原因や結果としてどのような項目を把握しているかも調査した。その結果、人々は、その高まる実感とはうらはらに、原因にしろ、結果にしろ非常に曖昧な理解をしていることがわかった。
  環境問題だけでなく、2005年からの3年弱についての分析を「世界で重要な問題」「日本で重要な問題」という視点からの2つの設問を時系列で調査することで分析を実施したが、2007年に入ってから、環境・公害に関する関心は大きく増加し、特に「世界で重要な問題」に関しては、それまで上位にあった「戦争・平和」などの項目を大きく引き離している。この傾向は2008年に入っても維持されている。
  さらに、人々の情報獲得については、テレビや新聞が環境に関する情報の主な情報源であることが判明し、本課題の(1)の顕著性分析の新聞の件数との有意な関連の裏付けとなった。また、この情報獲得に関しては、年代の差が大きく、20歳代、30歳代には、新聞・テレビなどのマスメディアだけでなく、インターネットについても情報源としての比重が高いことがわかった。またマスメディアでもテレビ番組のジャンルに関していうと、やはり年代の差は大きく、20歳代などではバラエティー番組の比重が高いなどがわかった。気候変動をはじめとする環境問題について一般の国民に伝えていくためには、これらの年代による情報獲得のためのアクセス指向の違いを念頭に置く必要があると考えられる。またこれらのアクセス指向の違いと、環境問題への関心、理解にも差が見られた。これもあわせて考えていく必要がある。
  環境行動は、本課題実施の3年間にも大きく進展し、行動率が上昇した。行動と情報獲得についての関連分析を順序プロビットモデルを用いて行うと、男女で異なったモデルが有効となった。男性は、環境行動を説明する要因として、理解、新聞(時事記事)があがり、一方、女性は、意識、テレビ番組(情報系番組)があがった。女性は時事的な情報の獲得に対してあまり積極的ではないにもかかわらず環境行動は積極的であるが、「理解」の部分を飛び越えて、意識の喚起→行動というモデルが有効であるためと考えられた。