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[キーワード] 一酸化炭素、オゾン、大陸性空気塊、VOC、化石燃料燃焼

[C-051 アジア大陸からのエアロゾルとその前駆物質の輸送・変質プロセスの解明に関する研究]

(2)沖縄におけるバイオマスエアロゾルのトレーサー(CO、VOC)の観測と輸送プロセスの解明[PDF](510KB)

  公立大学法人首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 

梶井克純

<研究協力者>

 

  首都大学東京 大学院都市環境科学研究科

加藤俊吾

  [平成17~19年度合計予算額] 6,168千円(うち、平成19年度予算額 1,880千円)

[要旨]

  沖縄辺戸岬の大気観測ステーションにおいて行われてきた一酸化炭素およびオゾンの連続観測データ(2002年から2004年)について、飛来する空気塊のオリジン別に濃度解析を行った。空気塊のオリジンについては中国本土(C)、朝鮮半島(K)、日本由来(J)および海洋性(O)と区分した。Cカテゴリーの空気は冬季に49%と大きな値を示し春季と秋季は20%程度であり、夏季は2%であった。Kカテゴリーは冬季14%、春季および秋季は10%で夏季はやはり2%であった。一方Jカテゴリーは冬から春にかけて20%程度であるが秋季は33%と大きくなり、夏季は5%であった。Oカテゴリーは夏季に53%であり、その他の季節では10-20%であった。オゾンおよび一酸化炭素濃度はCとKで大きな差異はなく、J より統合的に大きな値であった。J が小さい値となるのは排出強度を反映したものではなく海洋性空気による希釈効果が大きいためであることが分かった。集中観測によるVOC濃度の解析を行った。飽和炭化水素濃度の序列はエタンをはじめ分子量に逆相関し、OHラジカルとの反応速度と各VOC の濃度の両対数は良い直線に乗ることから、これらのVOCの大気濃度を規定しているものはOHラジカルによる消失過程であることが明らかとなった。トルエン、エチレンおよびプロピレンはこの直線からはずれて局所的な発生源の存在が示唆された。ブタンの異性体比は0.7程度であり地域差は見られなかったもののペンタンでは中国、韓国由来の場合 2.7-3 程度と大きな値を示したが、日本由来の場合は1.8 程度であり大きく下回った。これは使用されているガソリンの組成比で合理的に説明できることが分かった。VCOの連続観測結果から、飽和炭化水素の濃度変動はOHラジカルの季節変動パターンと空気塊の大陸性と海洋性の入れ替わりの効果により説明できることが明らかとなった。工業活動の指標となるC2Cl4 は一酸化炭素濃度と強い相関を示し、その指標としての妥当性が検証された。