[キーワード]非凍土地帯、現存量、火災後の更新、地上部/地下部比、土壌有機炭素
[B-053 ロシア北方林における炭素蓄積量と炭素固定速度推定に関する研究]
(2)非凍土地帯の森林生態系における炭素蓄積量と炭素固定速度[PDF](384KB)
1)極東の森林生態系
2) 中央シベリアの森林生態系
3)ヨーロッパ・ロシアの森林生態系
独立行政法人森林総合研究所 立地環境研究領域
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松浦陽次郎 |
独立行政法人森林総合研究所 九州支所
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梶本卓也 |
北海道大学大学院農学研究院
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小池孝良 |
<研究協力者> |
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北海道大学北方生物圏フィールド科学センター |
笹賀一郎・吉田俊也 |
北海道大学大学院農学研究院 |
小林真 |
ロシア極東農業大学国際関係部 |
Yuri P. NEMILOSTIV |
ロシア極東農業大学土壌学研究室 |
Valentina F. PROKOPCHUK |
ロシア科学アカデミー・スカチェフ森林研究所 |
Olga A. ZYRYANOVA |
ウラル森林工科大学 |
Vladimir A. USOLTSEV |
[平成17~19年度合計予算額] 27,014千円(うち、平成19年度予算額 7,700千円)
[要旨]
ロシア北方林のうち、非凍土地帯の森林生態系における炭素蓄積量と炭素固定速度を明らかにするために、極東、中央シベリア、ヨーロッパ・ロシアの3地域に分けて、現地調査と既存のデータ収集・検討を行った。極東アムール州では、森林火災直後の3年生林分ではシラカンバが優占し、35年生林分ではシラカンバが優占する林分が多いが、なかにはグイマツ優占林もみられ、ヨーロッパアカマツも高頻度で混交していた。地上部の炭素現存量は、火災から約50年を経ると平均50 Mg C ha-1に達していた。約150年生林分までの最大値は地上部現存量に125 Mg C ha-1に達していた。森林現存量のデータベースのうち、常緑針葉樹タイガの代表樹種であるヨーロッパアカマツとトウヒの現存量データを検討した。その結果、ヨーロッパアカマツでは林齢が100年を経過する頃には地上部現存量増加は頭打ちになり、地下部も50年あたりから増加していないことが解った。地上部/地下部比率はトウヒでやや低かった。針葉樹林タイガに混生あるいは純林を形成する落葉広葉樹であるカンバ類とヤマナラシについて、地上部と地下部現存量データを整備した。落葉広葉樹の地上部/地下部比(T/R比)は常緑針葉樹とは明らかに異なり、炭素蓄積量推定には樹種特性を考慮すべきことを示した。土壌有機炭素蓄積量推定値については、既存の研究成果には石礫含量補正などに不明瞭さがあり、深さ1mまでの蓄積量には検討の余地があること、また森林土壌の有機炭素蓄積量については、亜高山帯や低湿地、黒色土様の土壌を除けば、おおむね50~150 Mg C ha-1の範囲に入ることを示した。ロシア全体の森林の堆積腐植層に蓄積した炭素量のうち約7割が非凍土地帯に分布し、同様に森林土壌に蓄積した土壌有機炭素の約7割が非凍土地帯に分布していた。