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[キーワード] Larix gmelinii、シベリア、永久凍土、森林生態系、現存量

[B-053 ロシア北方林における炭素蓄積量と炭素固定速度推定に関する研究]

(1)凍土地帯の森林生態系における炭素蓄積量と炭素固定速度[PDF](1,126KB)

  京都大学 大学院農学研究科 森林科学専攻  

大澤晃

<研究協力者>

 

  龍谷大学理工学部 環境ソリューション工学科

宮浦富保

  ロシア科学アカデミー・スカチェフ森林研究所

Anatoly P. ABAIMOV

  ロシア科学アカデミー・スカチェフ森林研究所

Olga A. ZYRYANOVA

  [平成17~19年度合計予算額] 6,599千円(うち、平成19年度予算額 1,670千円)

[要旨]

  ロシアの永久凍土地帯を対象に、既存の森林調査データと本研究独自に収集したデータを用いて、広域の凍土地帯森林生態系における炭素蓄積量と炭素固定速度を、高い精度で推定することを試みた。2種のカラマツとも、自己間引きの法則に従った成長を示した。しかし、地位の悪い連続凍土地帯では、地上部現存量が一定となり、自己間引きの法則から外れる林分が多く見られた。凍土地帯の森林生態系における炭素蓄積と炭素固定速度に関連する現象として、樹木の樹冠先端部が徐々に枯れていく現象が観察されている。これはDieback(枯れ下がり)と呼ばれる現象であり、永久凍土の存在と密接に関連していると考えられてきた。Diebackが起こっている個体と、Diebackが起こっていない個体の成長経過を比較したところ、Diebackが起こっている個体の方が初期の成長がよいことがわかった。森林火災がカラマツを更新させる要因となっているが、森林火災が発生すると永久凍土面が下がることが知られている。低下した永久凍土面は森林の成長に伴い徐々に上昇する。成長のよい個体では根も深く、広く伸長させていると考えられるが、このために逆に永久凍土の上昇の影響を受けやすいと考えられる。実証的なデータの蓄積を行う必要があるが、凍土地域の森林の更新過程を明らかにする上で重要な知見である。また、生態系の炭素蓄積量、純一次生産量(NPP)、純生態系生産量(NEP)の値の範囲を把握し、シベリア連続永久凍土地帯の森林の炭素蓄積量と固定量を推定した。