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[キーワード] 対流圏オゾン、全球化学輸送モデル、領域化学輸送モデル、半球輸送、越境輸送

[B-051 アジアにおけるオゾン・ブラックカーボンの空間的・時間的変動と気候影響に関する研究 ]

(4)化学輸送モデルによる半球規模オゾン・ブラックカーボン汚染の解明[PDF](1,683KB)

  独立行政法人海洋研究開発機構
  地球環境フロンティア研究センター 


秋元 肇

  名古屋大学 大学院環境学研究科  

須藤 健悟

<研究協力者>

 

  独立行政法人海洋研究開発機構
  地球環境フロンティア研究センター


山地 一代, オリバー ワイル

  [平成17~19年度合計予算額] 6,778千円(うち、平成19年度予算額 2,484千円)

[要旨]

  全球規模での対流圏オゾンのソース・リセプター関係を明らかにするための手法として、全球化学輸送モデルCHASERモデルを用いた「タグ法(Tagged Method)」を開発し、代表的リモート地点における対流圏オゾンに対するそれぞれの発生源地域からの寄与を月別に調べた。代表的リモート地点であるMace Head, Bermuda, Samoaなどに対して、北米、ヨーロッパ、アジアの汚染地域からの寄与は、40%以上に達することが分かった。特に中国の境界層、アジアの自由対流圏からの影響は、北半球のほぼ全域で認められた。また、6-9月にはアジアの自由対流圏からのオゾンが、上部対流圏におけるアジアから南半球への半球間長距離輸送によって、南太平洋に5-10ppbの大きな寄与を与えていることが分かった。同様に南米からの半球間輸送が日本、北太平洋、米国に大きな影響を与えていることが分かった。
  一方、全球化学輸送モデルFRCGC/UCIモデルを用いたゼロエミッション法によって、我が国の首都圏に対する、ヨーロッパ、北米、中国、南・東南アジア、我が国自身、成層圏などからの寄与を2-4月の3ヶ月間について調べた。平均値では大陸間輸送によるヨーロッパ、北米からの寄与を合わせると中国からの影響を上回ることが示された。但し、ヨーロッパ、北米からの影響には余り大きな日々変動は見られないのに対し、中国からの影響は非常にepisodicであり、日によっては首都圏に対し15ppb以上と非常に大きく、平均値だけではその重要性が議論できない。特にオゾン濃度が80ppbを超える高濃度日に関して見ると、日本起源のオゾンが主要因となっている日と、日本起源と中国起源のオゾンの寄与が重要である日とがあることが分かった。
  東アジア域における対流圏オゾンの時間的・空間的変動の定量的な把握のために、サブテーマ3で開発したエミッションデータベースREASを領域化学輸送モデルRAMS/CMAQに導入し、2002年の通年シミュレーションにより、空間的季節変化を明らかにした後、2020年の排出量予測値を用いた将来予測モデル実験を行なった。現状推移型の場合、中国華北平原のオゾンは夏季(6-8月)平均値で約18ppb増加し、わが国ではわが国自身のNOxの排出量が減少すると予測されるにも関わらず、夏季の3ヶ月平均で約6ppb増加することが分かった。また、サブテーマ1の観測データに対するモデル解析を行った。