検索画面へ Go Research


[キーワード] リモートセンシング、地理情報システム、診断システム、類型化、全球マップ

[B-15 環礁州島からなる島嶼国の持続可能な国土の維持に関する研究 ]

(3)環礁州島形成維持プロセスの統合モデルと変動予測、モニタリングに関する研究

1) 環礁州島のモニタリングとGISによる診断手法に関する研究[PDF](1,505KB)

  独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター 

山野 博哉・松永 恒雄・島崎 彦人

  [平成15~19年度合計予算額] 44,609千円(うち、平成19年度予算額 7,113千円)

[要旨]

  環礁州島の形成維持機構の解明や脆弱性の評価、適応策の支援のために、リモートセンシングと地理情報システム(GIS)を活用して、(1)基盤情報の整備、(2)類型化、(3)脆弱性評価、(4)予測と適応策への応用に関する研究 を行った。(1)の基盤情報の整備においては、環礁州島の形成維持に関わる要因の全球データベースの構築をおこなった。また、衛星データの環礁州島マッピングに対する適用性を明らかにした。(2)の類型化においては、物理環境によって海域を類型化し、代表調査地選定の支援を行うとともに、衛星データによる環礁州島の類型化を行い、適用策の一般化に向けた体制を整備した。(3)の脆弱性評価においては、類型化された州島と人間居住との関係を検討した結果、州島のタイプごとに永続的な利用に適する州島/適さない州島の区別が可能であることが示された。また、現在高潮位時に洪水の起こっているツバル・フォンガファレ島において108年間の土地利用と社会経済状況の変化を解析し、現在の脆弱性が、地球規模の要因(海面上昇)と地域規模の要因(土地条件と社会経済条件)の複合によるものであることを示した。(4)予測と適応策への応用においては、全球規模で州島面積と州島の形成維持に関わる要因を定量的に評価する統計モデルを開発した。海面が上昇した場合の予測を行い、地域的な要因が州島の形成維持に重要であることを示した。歴史を再構築して脆弱性をもたらす地域規模での要因を明らかにすることによって、脆弱性の診断と適応策の立案が可能となることが期待される。こうした歴史情報と現在の地形情報に基づいて海面上昇に対する脆弱性を評価したハザードマップを現地政府に提供し、管理計画に貢献した。