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[キーワード] 関与物質総量、隠れた物質フロー、希少金属、基盤金属、戦略物資

[H-9 物質フローモデルに基づく持続可能な生産・消費の達成度評価手法に関する研究]

(4)隠れた物質フローの算定に関する研究[PDF](1,717KB)

  独立行政法人物質・材料研究機構
  材料ラボ


原田幸明・井島 清・島田正典

  東京大学大学院新領域創成科学研究科

月橋文孝

  [平成16~18年度合計予算額]  31,900千円(うち、平成18年度予算額 10,450千円)

[要旨]

  「隠れた物質フロー」は、資源の採掘などに伴って発生する大量の土壌や移動による排出物など、経済外の物質フローでありながら地球環境に影響を与え、以前からその重要性が指摘されつつも、データが不十分であるために多くの指標化に際する議論の際に導入が見送られ、検討課題とされていたものである。本研究では、この隠れた物質フローを算定し、他の環境指標やマテリアルフロー分析などの手法と協調して使用できるようにすることを目指した。その結果は以下の通りである。1)鉱物資源に関する「隠れたフロー」はTMR(エコロジカルリュックサック)として数値化することができる。2)その基礎データの多くは鉱山の操業に係わる環境報告書等に整備されつつあり、他の希少な金属類も地殻存在度などから推計することができる。3)バイオマスに関しては土壌を含んだ取り扱いと、土壌を含まず非素材化部分を計上する方法があるが、そのいずれが妥当か今後の検討を要する。4)エコロジカル・フットプリントとはむしろ相補的な関係にあり、係数などを用いてその中に組み込むことは妥当ではない。5)資源枯渇とも相関性はある程度はあるが一対一対応ではなく、TMRを基底として資源枯渇状況がある。6)TMRはむしろ、価格とよい相関関係を示しており、顕在した物質フローを表してはいないが、廃土の運搬などのコストとしてある程度価格に反映されている。7)価格に反映されているとはいえ、そのコストはまだ内部コストに過ぎず、環境影響を配慮しての外部コストとしての評価の議論が必要である。8)TMRはそのための基礎的数値を与える環境ストレス因子のひとつにはなるが、これまでの段階では環境インパクトとの関連付けは明確にできておらず、これからさらなる議論が必要である。9)しかしインベントリー項目としてはTMRは資源生産性の指標としてふさわしく、2050年までの資源要求をTMRでファクター8に抑えることが必要である。