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[キーワード]物質フロー、産業連関表、物量投入産出表、廃棄物、環境負荷

[H-9 物質フローモデルに基づく持続可能な生産・消費の達成度評価手法に関する研究]

(1)マルチスケール物質フローモデルの構築と政策評価への適用に関する研究[PDF](1,247KB)

  独立行政法人国立環境研究所
  循環型社会・廃棄物研究センター


森口祐一・橋本征二・南齋規介

  大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻

盛岡 通・山本祐吾

  和歌山大学システム工学部環境システム学科

吉田 登

<研究協力者>

 

  独立行政法人国立環境研究所循環型社会
  廃棄物研究センター

村上進亮

  [平成16~18年度合計予算額]  62,902千円(うち、平成18年度予算額 21,779千円)

[要旨]

  本研究は、物質フロー分析(MFA)手法に関する先行研究の蓄積を発展させ、持続可能な生産・消費に係る評価手法・指標を開発することを目的としており、とくに本サブテーマでは、ミクロレベルから国際連関レベルまでにわたる多様なスケールでの物質フローを整合的に分析するための共通的な情報基盤を構築することを目指す。この目標に向け、国立環境研究所においては、研究集会の開催や国際会議への出席を通じて内外における最新の研究動向を調査し、物質フロー分析に対するニーズを明らかにするとともに、関連諸手法との統合可能性を示した。これらをふまえ、多様な地理的スケールにおける物質フローとこれに伴う資源消費や環境負荷を記述するための枠組として、マルチスケール物質フロー勘定モデル(MSMFM)の設計を行い、鉄鋼生産に関する事例分析に適用した。また産業連関表に対応した環境負荷データの作成法として内生的算定法の意義を明らかにし、これに基づき2000年データを作成した。これを用いて技術革新と消費速度の比を用いた指標を提案した。
  大阪大学、和歌山大学では、廃棄物産業連関表を援用した技術革新の効果分析モジュールを構築し、主要資源の生産インフラでの技術変化に着目した事例分析を実施した。リサイクル型鉄鋼生産技術の分析では、循環資源の回収セクターと連携した産業コンプレックスの形成シナリオを作成し、埋立地面積やCO2排出量、資源生産性を定量的に評価した結果、資源生産性で約14%の改善効果が推計された。セメント産業における廃棄物燃料による石炭代替の分析では、2010年における誘発CO2排出量は2004年水準から486千t-C削減され、埋立量は131万t削減されることが明らかになった。下水汚泥ガス化に伴うCO2排出量変化の分析では、追加的な都市ガス投入を考慮しても全体で18.5~23.2万t-Cの削減効果を得られることが推計された。以上を通じて、将来の需要変化や先導技術の普及に伴って、物質フローが産業連関構造を介してどのように変化するかを分析するとき、本分析モジュールが有効となることが検証された。