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[キーワード]森林構造、レーザープロファイラー、近接分光測定、NPP、野生生物の生息環境

[E-4 熱帯域におけるエコシステムマネージメントに関する研究]

(2)多様性評価のためのラピッドアセスメント開発に関する研究

①生態系観測のスケールアップ化に関する研究[PDF](1,352KB)

  独立行政法人国立環境研究所
  生物圏環境研究領域  熱帯生態系保全研究室

奥田敏統(現広島大学大学院総合科学研究科)
宮本みちる・沼田真也・吉田圭一郎
鈴木万里子・近藤俊明

  岐阜大学 流域科学研究センター

小泉 博・安立美奈子・八代裕一郎

  財団法人自然環境研究センター

西村 千・菰田 誠

<研究協力者>

 

  独立行政法人国立環境研究所 地球環境センター

小熊宏之・米 康充

  マレーシア工科大学

Mazlan Hashim, Abd. Latif Ibrahim, Albin Lau

  (株)パスコ

宮作尚宏

  (株)ビジョンテック

大木秀行

  [平成14~18年度合計予算額]  145,450千円(うち、平成18年度予算額 29,708千円)

[要旨]

  生態学的根拠に基づいた森林管理に対して信頼性の高い生態指標を対案することを念頭に森林の状態を迅速かつ広域に評価できるスケールアップ技術開発について研究を行った。はじめに、航空機搭載型捜査式レーザー測距離装置(レーザープロファイラー)を用いてパイロットサイト内の天然林、再生二次林、伐採直後の森林、丘陵地林などの林冠の三次元モデルを作成した。その結果、レーザープロファイラーにより現地測量や空中写真判読と同程度の精度で地表面高および林冠高を測定できること、レーザープロファイラーデータで再現した森林の三次元立体構造体積によって地上部現存量が高い精度で推定できること、さらにはこの推定方法により伐採林や低地林、丘陵地林の現存量の違いが精度よく再現できることなどがわかった。また森林構成種をリモートセンシング技術で判読するための基礎研究として、近接分光スペクトルによる低地熱帯雨林植生の光学特性を調べた。その結果、林冠~低木の各階層に特異的な群落構成要素となる種判別に有効な波長帯の特徴抽出ができることがわかった。また高解像度マルチスペクトル画像(IKONOS)と得られたスペクトル特性を併用することで特定の群落種判別に有効なバイバンドを抽出できることが分かった。さらに衛星データを用いてマレーシア半島部全体の純一次生産量(NPP)を解析し、その時空間的変動を精度よく評価出来ることを示した。また動物にとって餌資源として有用なイチジク属の空間分布が、近隣の植生塊からの距離に応じて減少する傾向を明らかにした。このことから、野生動物にとっての“ある林分”の“住み心地良さ”を評価するには、その林分の空間配置情報が有効な“指標”になりうることが示唆された。