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[キーワード]リハビリテーション、造林、生育地選好性、樹種特性、住民参加

[E-4 熱帯域におけるエコシステムマネージメントに関する研究]

(1)森林認証制度支援のための生態系指標の開発に関する研究

③エコロジカルサービス研究サイトのネットワーク化に関する研究[PDF](2,002KB)

  独立行政法人国立環境研究所
  生物圏環境研究領域  熱帯生態系保全研究室

奥田敏統(現広島大学大学院総合科学研究科)
沼田真也・鈴木万里子・吉田圭一郎

  独立行政法人森林総合研究所

松本陽介・植田愛美

<研究協力者>

 

  京都大学 アジア・アフリカ地域研究科

小林繁男

  財団法人自然環境研究センター

西村 千

  (株)建設技術研究所

杉本龍志

  マレーシア工科大学

Mazlan Hashim, Abd. Latif Ibrahim

  [平成14~18年度合計予算額]  6,798千円(うち、平成18年度予算額 1,884千円)

[要旨]

  エコロジカルサービスの持続的な利用・管理を基本理念に掲げるのが「エコシステムマネージメント」であるが、その実現のためには科学的裏付けに基づく正確な資源量の把握や管理基準の策定、そしてこれらの得られた知見を活かしたランドスケープ管理の実践や土地利用計画の策定が必要不可欠である。つまり適正なエコシステムマネージメントの実現には、基礎研究から得られた成果と実践的な事業とのリンケージ、すなわちネットワークの形成が重要な課題となる。このような背景から、本研究ではこれまでE4課題で得られてきた森林生態系およびエコロジカルサービスに関するデータをもとに、実際の熱帯林修復事業(荒廃地植生のリハビリテーション等)との連携を行った。まず、植裁などによる生態系修復活動に際して、在来種がどの程度有効であるかを確かめるため、天然林で得られた毎木調査データと環境要因(土壌および地形)との対応関係を把握し、天然林性樹木種の生育地特性を把握した。その結果、多くの樹木種が特定の生育地への選好性を持つことが明らかとなった。次に地域住民や地元中学生参加による緑の回廊設置事業を試みた。植栽樹種の選定のため、植林予定地の環境条件や植栽樹種の市場価格、地域住民の要望などを考慮して9樹種(地域住民の要望種2種を含む)を選定し植栽を行った。植栽後、生存率の調査を行った結果、Artocarpus hispidusの生存率は低かったものの(40%)、その他の8樹種の生存率は極めて高いことが分かった(平均92.1%)。さらにこうした植林活動が将来的に温暖防止の吸収源対策としてどの程度有効であるか、また地域社会でどのような問題が生じるかなどについて検討を行った。その結果CDMメカニズムでは認証などへのコストが嵩むこと、天然林や在来種による森林復元のためにはそれらがもたらすエコロジカルサービスへの適正な配慮が必要であることが示唆された。