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[キーワード]バラスト水、船体付着、海藻類、底生動物、越境移動

[D-4 大型船舶のバラスト水・船体付着により越境移動する海洋生物がもたらす生態系攪乱の動態把握とリスク管理に関する研究]

(1)バラスト水・船体付着により越境移動した生物群集の起源、拡散経路および動態の解析
  に関する研究[PDF](2,035KB)

  国立大学法人神戸大学
  内海域環境教育研究センター


川井浩史・上井進也・羽生田岳昭

  三重大学 生物資源学部

木村妙子

<研究協力者>

 

  神戸大学 自然科学研究科

山田味佳

  北海道大学 先端科学技術共同研究センター

嶌田 智

  広島大学大学院 生物圏科学研究科

大塚 攻

  独立行政法人水産総合研究センター
  瀬戸内海区水産研究所


浜口昌巳

  [平成16~18年度合計予算額]  79,474千円(うち、平成18年度予算額 26,062千円)

[要旨]

  褐藻ワカメはミトコンドリア遺伝子による解析から、原産地北東アジアでは4つの系統群に区分された:(I)大陸沿岸タイプ;(II)北日本タイプ;(III)中部日本太平洋岸タイプ;(IV)日本海タイプ。一方、海外移入集団はタスマニア、カリフォルニア、メキシコは日本からの船舶を介した移入の可能性が示されたが、豪州本土やアルゼンチンへは、韓国に由来するニュージーランド集団からの二次拡散の可能性が示唆された。ニュージーランドについては過去の乾燥標本の解析とマイクロサテライト法による解析から、優占集団の経時変化が明らかになった。三河湾と大阪湾で優占する緑藻アオサ・アオノリ類について遺伝子マーカーによる分類を行った結果、U. californica, U. scandinavica, U. armoricanaなどの最近日本へ移入したと考えられる種が新たに発見されたが、逆に移入種とされてきたミナミアオサは日本自生種である可能性が示された。極東アジア原産のアナアオサは葉緑体遺伝子による解析からオセアニア、北米太平洋沿岸の広い範囲に移入している可能性が示された。代表的な船体付着海藻シオミドロ類について、遺伝子マーカーによる分類システムの構築を目指し、世界各地と船体表面・バラスト水中から採集された標本についてミトコンドリア遺伝子による多様性解析を行った。北米太平洋沿岸に新たに移入した大型褐藻を形態学的観察と遺伝子マーカーによる解析で瀬戸内海周辺の集団に由来するシダモクと同定した。ミトコンドリア遺伝子塩基配列とその制限酵素断片解析から日本のコウロエンカワヒバリガイがオーストラリアに由来するとの解析結果を得た。大陸間航路の輸送船の船体付着生物調査で7門90種を越える底生動物を確認し、優占するフジツボ類には日本未産のものが含まれることを示した。大陸間航路の輸送船のバラストタンク内の海藻、動物プランクトンの動態調査を行い、その多様性を明らかにするとともに、熱帯を通る航路では出航後1週間程度でほとんどの海藻類幼体、動物が死滅するが、一部は豪州まで到達し放出されることを明らかにした。