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[キーワード]炭素吸収量、 生態学的モデル、インベントリ、比較分析、不確実性評価

[B-60 京都議定書吸収源としての森林機能評価に関する研究]

(2) 生態学的アプローチによる吸収量評価モデルの開発と不確実性解析[PDF](814KB)

  1)生態学的吸収量評価モデルの開発

  2)生態学的吸収量評価モデルの不確実性解析

  独立行政法人国立環境研究所
  地球環境研究センター


山形与志樹・G. Alexandrov・木下嗣基

  東北大学東北アジア研究センター

石井敦

<研究協力者>

 

  独立行政法人国立環境研究所
  地球環境研究センター

岩男弘毅

  [平成14~18年度合計予算額]  114,980千円(うち、平成18年度予算額 22,076千円)

[要旨]

  本研究では、日本の森林における広域炭素収支を推定することを目的として、生態学的なプロセス(光合成・呼吸・土壌分解等)を組み込んだ生態学的炭素吸収量評価モデルを開発し、リモートセンシングや林業統計(森林インベントリ)手法による推計値との比較によるその不確実性を評価する研究を実施した。生態学的なアプローチによる炭素収支推定手法は、従来の林業統計に基づいた炭素吸収量の推定手法とは方法論的に異なるアプローチであるため、林業統計情報に基づいた京都議定書に関する森林の炭素吸収量の評価に際し、検証(Verification)ツールとしての役割が期待されている。プロジェクトの前半では、グローバルな森林生態学的モデルを日本の森林環境状態に適合するものに改良を進めるとともに、テストサイトにおいて観測された森林炭素吸収量データによるキャリブレーション分析を実施した。また、全国レベルでの生態系モデルによる森林炭素吸収量評価に必要となる森林環境情報(1kmメッシュ)の収集と整備を進め、広域の森林生態系に対する全炭素収支算定を可能とした。後半では、森林簿等の林業インベントリ情報の一部を生態学的アプローチによるモデルの入力データとして利用することで、地域的な森林成長の違いを反映することによる吸収量算定精度の向上を図ることができた。炭素吸収量の算出に際して、樹高成長量や林分密度(本数推移)の推定を生態モデルに組み込むことで、植裁や間伐効果の評価も可能となり、現実の森林管理の即した森林生態系の炭素収支を推定できるようにした。さらに、モデルにより推定された森林成長量や炭素吸収量について、リモートセンシングや林業統計手法による結果との比較検討を実施し、樹種によって過大評価したり過小評価になったりすることが解った。また、実際の施業体系を生態モデルに組み込んで検討したところ、森林簿と併せれば全炭素収支の将来予測が可能なことも解った。