検索画面へ Go Research


[キーワード]高解像度気候モデル、温暖化影響評価、洪水、渇水、熱ストレス

[B-12 極端な気象現象を含む高解像度気候変化シナリオを用いた温暖化影響評価研究]

(2)極値現象を含む気候変化シナリオを用いた温暖化影響評価に関する研究[PDF](1,940KB)

  独立行政法人国立環境研究所
  地球環境研究センター 温暖化リスク評価研究室


高橋 潔

  独立行政法人国立環境研究所
  社会環境システム領域 領域長


原沢英夫

  独立行政法人国立環境研究所
  社会環境システム領域 統合評価モデル研究室


肱岡靖明

  東京大学 生産技術研究所

沖 大幹

<研究協力者>

 

  京都大学大学院地球環境学堂

松岡譲・齋藤宏彰

  東京工業大学大学院社会工学研究科

村井啓朗

  山梨大学工学研究科

平林由希子

  筑波大学大学院人間総合科学研究科

本田 靖

  独立行政法人国立環境研究所
  地球環境研究センター 温暖化リスク評価研究室


増冨祐司

  [平成16~18年度合計予算額] 40,982千円(うち、平成18年度予算額 16,000千円)

[要旨]

  本サブテーマの目的は、高解像度気候モデルMIROC3.2-hiresの結果を利用して極値現象を含む日単位の気候変化シナリオを作成し、全球を対象とした水資源、農業、健康分野への気候変化影響のモデル推計を行うとともに、影響被害軽減のための方策を検討することである。初年度に、日別の気候モデル出力を用いて極値現象を考慮した分野別影響を評価する作業に先駆け、「日別の気候モデル出力の確率的特性に関する把握」と「月別気候モデル出力と日別気候出力を用いた場合の影響評価結果の違いの把握」を目的とした予備的検討を行った。さらに2~3年度目には、予備的検討をふまえ、洪水・渇水リスク変化の全球的予測(水文・水資源)、統計的手法を用いた降雪量の将来予測(水文・水資源)、極端な気象現象を考慮した農作物潜在生産性変化の推計(農業)、暑熱日増加に伴う熱ストレスによる死亡数の変化の推計(健康)、について研究を行った。例えば、洪水・渇水リスク変化の全球的予測では、MIROC3.2-hiresの結果を用いて、20世紀再現実験(モデル値)の渇水・洪水の再現精度の検証と温暖化時の大河川流域の渇水・洪水の変化について解析を行った。その結果、MIROC3.2-hiresが20世紀の洪水・渇水のリスクを良く再現できること、北米大陸の北部と東ヨーロッパを除く全球で21世紀に洪水リスクが増加すること、ユーラシア大陸の北東部を除いて全世界的に渇水リスクが増加することが示された。また、熱ストレスによる死亡数の変化の推計では、熱ストレスによる死亡率の将来変化について、全球を対象として評価する手法を開発し、それを用いた試算を行った。その結果、適応・馴化が行われないと仮定した場合、熱ストレスによる超過死亡数の変化率を国別に見ると100~1000%程度増加し、特に至適気温よりも5℃以上高い強ストレス日が大きく増加する地域では、超過死亡率増加が激しいことが示された。