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[キーワード] 成層圏、衛星検証、FTIR、GPS掩蔽、極成層圏雲

[A-10 衛星観測データを利用した極域オゾン層破壊の機構解明に関する研究]

(2)地上・気球・他衛星データ等を利用した衛星データ検証に関する研究[PDF](867KB)

  独立行政法人情報通信研究機構 第3研究部門
  電磁波計測研究センター
  環境情報センシングネットワークグループ


村山泰啓

  京都大学生存圏研究所

津田敏隆

  東北大学大学院環境科学研究科

村田 功

  福岡大学地球圏科学科

林政彦(平成16,17年度)

<研究協力者>

 

  国立極地研究所

青山雄一

  情報通信研究機構

笠井康子

  都留文科大学

山森美穂

  富士通エフ・アイ・ピー

香川晶子

  [平成16~18年度合計予算額] 29,890千円(うち、平成18年度予算額 7,000千円)

[要旨]

  本サブテーマでは、南北両半球高緯度における地上・気球・航空機・衛星観測データ等を用い、ILAS-IIデータの検証解析に資することを目的とする。データ処理アルゴリズムを高度化して国際的に高水準な品質とするためには、他観測データを用いた検証は必要不可欠である。ここではILAS-IIとの同期観測、および直接比較が適当でないものは検証に寄与する観測・データ解析を含めて「検証解析」を行う。本研究では以下の成果を得た。1)アラスカ(65.1N, 147.5W)のフーリエ変換赤外分光器(FTIR)観測(2003年春季)からILAS-II v1.4データと比較検証したところ、オゾンでは気柱全量および各高度での混合比とも20%以内、硝酸では高度17km以上で10%以内の差で一致した。FTIRデータの誤差解析を行ったところ誤差は20%以内であり、ILAS-II観測との差は誤差の範囲であった。また統計的な誤差を評価するため、時系列(季節変動・年々変動)を導いた。2)FTIR観測においては分光計の装置関数が大気微量成分の高度分布推定に大きく影響するため、つくばのFTIRを用いて装置関数の測定および光軸調整による装置関数改善を行った。観測結果された経年変動から塩化水素、フッ化水素全量にフロン規制の効果が見え始めていることがわかった。3)CHAMP衛星(独)によるGPS掩蔽データを用いて、気温導出上限高度の向上および結果の検証、ならびに極域成層圏気温擾乱の気候学的特性を研究した。GPS掩蔽ではラジオゾンデと同等の精度でかつ優れた高度分解能で高度約35kmまで気温が得られることを利用し、大気重力波のエネルギーについて南北極域での水平(緯度・経度)分布および季節変動を求め、背景風および惑星波との関係を明らかにした。4)南北極域における極成層圏雲・エアロゾルの気球・ライダー観測、ILAS・ILAS-II消散係数の検証などを行った結果、半径0.056ミクロン程度まで小さい粒径分布が重要であること、成層圏エアロゾル量の変動は粒径分布の変動極渦の崩壊に伴う極渦外からのエアロゾル流入が100mスケールの層でおきている領域があること、ピナツボ火山噴火の影響が噴火後10年近く継続していたことなどがわかった。