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[キーワード] 水蒸気、熱帯対流圏界層(TTL)、脱水過程、オゾン、HOxサイクル

[A-1 オゾン層破壊の長期変動要因の解析と将来予測に関する研究]

(2)成層圏水蒸気量の変動の把握とオゾン分解反応への影響評価に関する研究[PDF](1,135KB)

  独立行政法人国立環境研究所
  大気圏環境研究領域


今村隆史

  北海道大学大学院地球環境科学研究科

長谷部文雄・藤原正智

  名古屋大学太陽地球環境研究所

松見 豊

  京都大学生存圏研究所

塩谷雅人

<研究協力者>

 

  独立行政法人国立環境研究所

猪俣 敏・秋吉英治

  北海道大学大学院

山崎孝治

  名古屋大学太陽地球環境研究所

高橋けんし

  [平成14~18年度合計予算額] 132,552千円(うち、平成18年度予算額 26,248千円)

[要旨]

  成層圏における水蒸気量が少なくとも中緯度においては1980~2000年の期間で増加傾向(年約1%)にある事が報告されており、その増加原因は何らかの力学過程・輸送過程に有ると考えられている。対流圏から成層圏への水蒸気の流入量は熱帯上空の対流圏界面近傍の低温領域でのプロセスでコントロールされていると考えられている。そこで太平洋熱帯域の上部対流圏から下部成層圏における水蒸気観測を継続的に行った。その結果、熱帯域の下部成層圏では、1993年から2007年まで期間では、大きな不確実性を有するものの、増加傾向の存在の可能性を示唆する結果が得られた。一方、観測頻度が少ないものの、2002年から2003年頃にかけて水蒸気が少ない時期になっている可能性を示す結果も得られた。衛星からの水蒸気の観測によると2001年以降2003年まで期間、熱帯下部成層圏領域において、水蒸気が減少した可能性が指摘されており、本課題で実施した水蒸気ゾンデ観測の結果と対応している可能性がある。熱帯対流圏界面近傍での脱水過程として、観測データの解析ならびに大気大循環モデルを用いた数値実験から赤道ケルビン波の寄与を明らかにした。更に成層圏でのHOxオゾン分解サイクルに関連する反応として、オゾンの光分解で生成する電子励起酸素原子-O(1D)およびO(1S)-の生成収率ならびに水蒸気などとの反応速度の決定や短寿命臭素化合物の大気寿命決定を行った。