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[F―4 高度情報・通信技術を用いた渡り鳥の移動経路と生息環境の解析および評価に関する研究]

(3)GPSによる渡り鳥の長期自動位置情報収集システムの開発に関する研究

独立行政法人情報通信研究機構

 

 

  横須賀無線通信研究センター

 

井上真杉

静岡大学工学部

 

福田 明

沼津工業高等専門学校

 

長澤正氏

[平成13〜15年度合計予算額]

 平成13〜15年度合計予算額 34,062千円
 (うち、平成15年度予算額 10,454千円)
 

[要旨]

 近年,人工衛星を利用した渡り鳥追跡技術が急速に発達し,渡り鳥の保全に関する
研究を飛躍的に進展させてきた.そのほとんどはARGOSシステムによるものであるが,機器
の価格,衛星回線の使用料,位置の測定精度,測定間隔の設定自由度,欠測率などにいくつ
かの問題点がある.そこで本研究では,衛星への信号送信を一切行わずGPS信号の受信によ
り位置を測定し,メモリに記録する新しい方式によるシステムを開発した.
 平成13年度以来,順次改良を重ねてBGDL,BGDL-II,BGDL-II+を開発してきたが,平成15年度に
最終的に完成されたBGDL-II+は,GPS信号受信用パッチアンテナ,18チャネルGPS受信機,タイマ,
メモリ,バッテリ,30m耐水の筐体からなり,重量67gである.これにより,あらかじめ設定され
たスケジュールに従って自動的に最大600回の位置測定が行える.
 本研究では,開発した機器の性能を実証するための国内での種々の実験のほか,米国,ニュー
ジーランド,英国の研究者の協力を得て,それぞれ,ガラパゴス諸島におけるWaved albatross,
ニュージーランドオタゴ半島におけるRoyal albatrossおよびチャタム諸島におけるChatham m
ollymawk,南米サウスジョージア島におけるGrey-headed albatrossおよびWandering albatros
sの追跡実験を行った.その結果,BGDL-II+では多くの実験において飛行中ですら欠測率が10%程
度であった.時に起る欠測率の大きい場合は,明らかに機器の取り付け方法に問題があると思わ
れ,BGDL-II+に至って測定精度,信頼性,操作性などの機器の性能は十分実用レベルに達したと判
断される.
 本方式の特徴は,信号の送信を一切行わないことにより,機器の小型・軽量・低価格化を達成
したことであるが,そのため位置データの取得に鳥の再捕獲・機器の回収が必要となる.この点
が各種の応用において根本的な制約となる場合も多いので,特定小電力方式により機器からデー
タを送信する機能の付加に関しても検討を行い,性能評価機の作成を行った 。

[キーワード]

 渡り鳥保全,渡り鳥追跡,GPS,自動位置測定,アホウドリ