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[K−2 地球温暖化対策のための京都議定書における国際制度に関する政策的・法的研究]

 (3)京都議定書の吸収源活動評価に関わる政策決定の日・米・欧比較研究


独立行政法人森林総合研究所 森林管理研究領域

天野正博

日本大学生物資源科学部

木平勇吉

坂田景祐


[合計予算額]

 平成12〜14年度予算 8,443千円
 (うち、平成14年度予算額 2,898千円)

[要旨]

 京都議定書3条3項、4項で取り上げられている吸収源としての森林の取り扱いについて、各国の対応をみると吸収源として活用することに積極的な国から、反対の国まで幅広い違いが見られる。その背景の一つとして、各国が所有している森林資源の違いがある。そこで、日米欧の吸収源としての森林資源の現状について比較・分析した。
 2001年3月に米国のブッシュ政権は京都議定書離脱宣言をし、独自の温暖化対策の道を歩むことになった。米国がなぜ離脱したのか、また、米国にとって吸収源はどのような意味を持っていたのかについて分析した。
 京都議定書吸収源に対してアンブレラグループは概して積極的にこれを活用しようとしているのに対し、EU諸国は国際交渉の場に置いて一貫して吸収源の活用には否定的な姿勢を示してきた。そこで、EU主要国の森林資源情報を収集するとともに、スウェーデン、ドイツ、イギリスの森林政策が温暖化に対しどのようなスタンスを取っているのか調べた。その結果、アンブレラグループの幾つかの国は潤沢な森林資源をもち、吸収源を活用することにより排出削減に努力することなく京都議定書の削減目標を達成できるが、EU諸国はどこも吸収源から大きなメリットを得るようなことはなく、吸収源としての森林は公平性を欠くことが解った。また、木材輸出国と木材輸入国の間でも、吸収源としての森林から得られるメリットが異なる。このため、第2約束期間に向けて不公平性を緩和するような方法を見つけ出す必要がある。


[キーワード]

 吸収源、米国、京都議定書離脱、GHG排出量、GHG固定量