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[K−2 地球温暖化対策のための京都議定書における国際制度に関する政策的・法的研究]

(1)京都議定書における国際制度に関する政策決定の日・米・欧比較分析


独立行政法人国立環境研究所社会 環境システム研究領域

亀山康子・久保田泉

静岡大学人文学部

高村ゆかり

神戸商科大学経済研究所

新澤秀則


[合計予算額]

 平成12〜14年度合計予算額 22,110千円
 (うち、平成14年度予算額 7,378千円)

[要旨]

 本研究は、京都議定書に規定された国際制度について、とりわけ同制度に対する日米欧の政策決定という点から、政治学、経済学、法学の各分野で分析し、今後の国際制度の行方や、それらの国が京都議定書の下での温暖化対策の取り組みに積極化するための必要条件を見いだすことを目的としている。その概要と結果は以下のとおりである。(1)日米欧に関して、京都議定書の採択及びそれ以降の政策決定について分析した。その結果、各国において、地球温暖化対策及び京都議定書に対する政策決定要因には異なる要因が働いており、要因が異なる根本には政治制度の違いがあることが分かった。したがって、今後それらの国で温暖化対策に前向きになるためには、それぞれの異なる条件を配慮した国際制度設計が必要となる。(2)経済学的観点から、排出量取引制度の国内での導入方法、及び、炭素税や協定等の対策とのポリシーミックスに関して検討した。その結果、日本国内で排出権取引制度を導入する場合には上流型排出権取引が下流よりも望ましいこと、また欧州では温暖化以外の目的も兼ねたポリシーミックスがさかんに行われておりそれぞれに特徴があることが分かった。(3)京都議定書及びCOP7で決定されたマラケシュ合意における国際制度に関し、法学からの規範的検討、及び、それらを国内で実施するための主要国内での法整備の比較分析を行った。その結果、京都メカニズムは経済的効率性を高める半面規範的に問題が残されていることや、遵守措置規定が、従来の他国間環境条約で慣例となっていた遵守手続きの法文化として意義があるが、WTO等との調整等の検討課題が残されていること、等が指摘された。また、同じ京都議定書への対応としても、日米欧では異なった国内法が整備されていることが分かった。


[キーワード]

 京都議定書、地球温暖化対策、排出量取引、政策決定、遵守措置