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[H−2 環境負荷低減のための産業転換促進手法に関する研究]

(1)自主的管理による環境負荷削減効果に関する研究


独立行政法人国立環境研究所

社会環境システム研究領域

資源管理研究室

森 保文・森口祐一

環境計画研究室

原沢英夫

東京大学工学系研究科都市工学専攻

花木啓祐


[合計予算額]

 平成12〜14年度合計予算額 31,144千円
 (うち、平成14年度予算額 9,724千円)

[要旨]

 本研究では、自主的管理としてISO14001およびEco-efficiencyを取り上げた。
 ISO14001は、環境マネジメントシステムの国際規格として発行されたもので、急速に普及している。この研究では、どのような因子がISO14001の導入をもたらし、またこの規格の普及により環境負荷パフォーマンスが向上するのかを検討した。経済理論や政策経済理論から、ISO14001のような自主的なプログラムを導入する理由として、規制における利点、市場における利点、社会的責任および組織的要因を取り上げ、加えて、ISO14001の環境面での効果について、事業所に対するアンケート調査およびインタビュー調査を実施し、統計的解析を実施した。
 産業および審査登録の時期によって、有意な要因が異なった。早期に審査登録した事業所、後期に審査登録した事業所および審査登録を準備中の事業所は、それぞれ異なった要因を動機としたグループとなっており、環境対策については、時間とともに環境行動が拡大していた。ISO14001の環境面での効果について、疑問視する声があるが、環境負荷削減が時間ともに進行している可能性が明らかとなった。
 Eco-efficiencyについては、WBCSDにより提案されたEco-efficiencyにおける価値と環境影響の評価にステイクホルダー毎の異なる視点を導入することによって、企業活動に外部の価値観を組み込むことや、操業方針に関する住民等との協議を合理的に進めることを提案した。7種の家庭用エアコンに対して企業、投資家、消費者、グリーンコンシューマーのそれぞれの立場でのEco-efficiencyを算出し製品間での比較を行い、この方法が新製品の開発などの際に有効に用いられる可能性を示した。また、工場の将来の操業方針に対して、企業等毎にEco-efficiencyを算出するケーススタディを行い、合意形成のためのツールとしての活用が可能であり有用であることを示した。これらは自主的管理による環境負荷削減に活用できる発展性がある。


[キーワード]

 ISO14001、環境マネジメントシステム、数値目標、Eco-efficiency、ステイクホルダー