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[E−2 森林火災による自然資源への影響とその回復の評価に関する研究]

(1)リモートセンシングデータなどによる森林火災の影響と回復過程の解析と総合化


独立行政法人国立環境研究所

 生物圏環境領域

領域長

渡辺 信

 国際室

清水英幸

独立行政法人森林総合研究所

 四国支所

流域森林保全研究グループ

平田泰雅

 森林管理領域

資源解析研究室

斎藤英樹

独立行政法人通信総合研究所

 電磁波計測部門

環境データシステムグループ

小林達治、梅原俊彦、浦塚清峰、

佐竹 誠、灘井章嗣、前野英生、

黒須隆志

〈研究協力者〉自然環境研究センター

鋤柄直純

 インドネシア国科学研究院生物学研究センター

Herwint Simbolon

 インドネシア国ボゴール農科大学

Lilik Budi Prasetyo


[合計予算額]

 平成12〜14年度合計予算額 59,027千円
 (うち、平成14年度予算額 16,686千円)

[要旨]

 1997-1998年のエルニーニョ南方振動現象に起因する異常乾燥は、焼き畑や産業造林のための火入れ等からの延焼を増大させ、ボルネオ島やスマトラ島で大規模な森林火災を引き起こした。森林火災の影響及び回復過程の程度は、局地的に異なり、また被災地域は広範にわたる。この状況をモニタリングのために衛星観測は有効な手段の一つである。そこで本研究では、大規模森林火災の影響及びその回復過程を、リモートセンシングデータを用いて評価する手法を開発した。また、本研究の位置づけを明らかにするため森林火災に関する既存の研究事例を整理した。
 まず、森林火災の状況及びその要因と拡大の機構、森林構造への影響と回復過程、動物への影響についてのこれまでの知見を整理した。次に、高分解能衛星データを用いて、火災発生前の研究対象地域の土地被覆分類を行い、被災前の天然林を抽出した。また、現地において被災の程度に応じてプロットを設定し、林分因子の測定を行った。被災の程度は、1m地上分解能の衛星データを用いて判定した。現地での測定値と高分解能衛星データから算出された植生指数との関係を調べた結果、天然林の被災地ではLAIと植生指数は負の相関を示すことが明らかになり、植生指数を介して広域での被災程度の評価を行うことが可能となった。また、火災発生時に観測を行っていたJERS-1衛星合成開口レーダ(SAR)は、雲を透過することで熱帯降雨林の観測に適していると期待されたが、単偏波であること等が影響し、被災地抽出において良い結果は得られなかった。そこで、より高性能である航空機搭載SARを用いて森林火災エリアの抽出解析を行った。その結果、森林火災エリアの同定・観測にはLバンドの交差偏波が有効であることが確認できた。最後に、高頻度衛星による観測データから、広域にわたる被災地マッピングと植生回復過程のモニタリング手法を開発した。その結果、1998年前半に東カリマンタン州全域にわたり広く火災の被害を受けており、回復のスピードは被災直後に比べ、現在は緩やかになっていることが明らかになった。


[キーワード]

 リモートセンシング、高分解能衛星データ、高頻度衛星データ、合成開口レーダ、広域モニタリング