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[B−51 CH4、N2Oのインベントリーの精緻化と開発中核技術の内外への普及]

(4)廃棄物処理分野におけるCH4、N2O排出抑制中核技術の汎用化と普及に関する研究


独立行政法人国立環境研究所

循環型社会形成推進・廃棄物研究センター

 最終処分技術研究開発室

山田正人・石垣智基・井上雄三

 有害廃棄物管理研究室

大迫政浩


[合計予算額]

 平成12〜14年度合計予算額 16,623千円
 (うち、平成14年度予算額 5,550千円)

[要旨]

 廃棄物最終処分場からのメタン放出量をより正確に把握することを目的として、廃棄物統計に基づく処分場からのメタン放出量推定の精緻化と、処分場からの地表面メタン放出量の現場観測手法の開発を試みた。主な有機性の産業廃棄物である紙くず、木くず、動植物性残さおよび有機汚泥について、中間処理過程における廃棄物の質と量の変化を重量および炭素量ベースで追跡し、産業廃棄物処分場における年間メタン放出ポテンシャルを求めた。中間処理を経ない直接埋立以外に、生分解性有機炭素量がほとんど変化しない脱水等の中間処理を経て埋め立てられる廃棄物を放出量推計に含めることは重要であり、また、我が国では未評価である有機性汚泥由来のメタン放出量は現在の放出量報告値の6割に相当することを示した。有機性汚泥について、発生業種別フローより推計したメタン放出ポテンシャルは、業種を分けないフローでの推計値に比べて約1万トン程度小さくなった。この差は、廃棄物フロー把握の細分化が必ずしもメタン放出量推計の大幅な精緻化につながらないことを示すが、排出量が大きい廃棄物では全体的な精度向上という点で無視できない。処分場地表面におけるメタン放出地点は処分場内部熱の放出や微生物代謝により暖められているという仮定に基づき、サーマルビデオカメラでスクリーニングしたホットスポットにおいてメタンフラックスの計測を行った結果、複数の場所ならびに時期に観測された100を超えるホットスポットでフラックスが検出されなかったのは1割以下で、無作為に抽出した地点では7割以上においてフラックスが未検出であったことから、仮定ならびに手法の有効性が示された。さらに観測された地表面温度とメタンフラックスの間の相関関係より、地表面温度分布と限られたフラックス測点により埋立地全体の地表面メタン放出量を求める簡便な手法を示した。また、処分場への品目別廃棄物埋立量の経年記録から推計したメタン放出量と実測値から求めた放出量を比較し、今後のメタン放出量推計の精緻化の方向を示した。


[キーワード]

 産業廃棄物、中間処理、最終処分場、メタンフラックス、熱画像計測装置(サーマルカメラ)