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[IR−2 温室効果ガスインベントリーシステム構築の方法論に関する研究]

(2)産業部門からの温室効果ガス排出の精度管理


エコフロンティアフェロー研究員

 

李玉娥・董紅敏・Thy SUM

独立行政法人国立環境研究所

 

 

地球環境研究センター

 

井上元・清水英幸

(研究協力機関)

 

 

財団法人地球環境戦略研究機関

気候政策プロジェクト

西岡秀三・平石尹彦・田辺清人


[平成11〜13年度合計予算額]

 平成11〜13年度合計予算額 5,546千円
 (平成13年度予算額 1,968千円)

[要旨]

 本研究は、産業部門(農業を含む)からの温室効果ガス(GHG)排出量推計の精度を高めることを目的として、国際協力研究(エコフロンティアフェローシップ・プログラム)の研究員が、自国のGHGインベントリーを対象としてケーススタディを行ったものである。
 平成11年度は、中華人民共和国における家畜の糞尿管理システムからのメタンと亜酸化窒素の排出量を推計し、また感度分析により推計精度に重要な影響をもつファクターを調べた。その結果、動物別には非乳用牛・家禽・豚の3種類に、管理方法別にはスラリー・牧草地・畜舎の3種類に、また同国内の4地域に焦点をあてて、糞尿管理システムの使用比率、窒素排泄、飼料摂取量及び消化率にっいて、詳細なデータの収集・調査を優先的に行うべきだとの提言をまとめた。平成12年度は、中華人民共和国における家畜の消化管内発酵からのメタン排出量を、IPCCの提示する4つの異なった方法に従って推計した。その結果、処理藁を飼料とするプロジェクトの拡大によって黄牛からのメタン排出量が減少したことが明らかとなり、またその減少効果を正しく評価するためIPCC良好手法指針の示す推計方法を採用すべきであることもわかった。今後必要なこととして、家畜生産システムの経年変化を踏まえて排出係数を修正すること、各種粗飼料のメタン転換率に関する実験研究を行うことなどを提言した。
 平成13年度は、カンボジアのGHGインベントリーにIPCC良好手法指針の主要排出源分析を適用して、家畜の消化管内発酵及び家畜の糞尿管理からのメタン排出量推計の改善が、同国では特に優先されるべきだということを明らかにした。さらに、非搾乳牛、水牛及び豚に対して第2階層(Tier2)方法を用いた推計ができるように排出係数の開発を試みた。結果的には、第1階層方法と第2階層方法の推計値に特に大きな違いは現れなかったが、2つの主要排出源に対してIPCC良好手法指針を適用したことにより推計の信頼性は高まったと言える。


[キーワード]

 メタン、亜酸化窒素、家畜糞尿管理システム、消化管内発酵、IPCC良好手法指針