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[IR−2 温室効果ガスインベントリーシステム構築の方法論に関する研究]

(1)温室効果ガスインベントリーシステム構築手法の開発


独立行政法人国立環境研究所

 

 

地球環境研究センター

 

井上元・清水英幸

(研究協力機関)

 

 

財団法人地球環境戦略研究機関

気候政策プロジェクト

西岡秀三・田辺清人


[平成11〜13年度合計予算額]

 平成11〜13年度合計予算額 64,303千円
 (平成13年度予算額 19,680千円)

[要旨]

 温室効果ガス(GHG)インベントリーシステム構築は、気候変動枠組条約及び京都議定書の実効性を担保する上で大変重要な意味を持っている。本研究は、今後のインベントリー研究の重点について検討し、日本およびアジア太平洋地域のGHGインベントリーシステムをより信頼性の高いものに改善していくことを目的として実施した。
 まず、既存の文献をもとに、アジア太平洋地域におけるGHGインベントリーに使用されている排出係数データの一覧表を作成し、IPCCデフォルト値(各国の状況を反映する独自のデータがない場合に、その代用として用いることを推奨されている値)以外のデータに乏しい現状を明らかにして、アジア地域の特性を反映した排出係数データの研究・整備を推進する必要性を確認した。そして、国際ワークショップを開催し、国内外の専門家ロスター(名簿)を作成するとともに、農業、土地利用・土地利用変化及び林業、廃棄物の各分野における研究課題を整理した。また、アジア太平洋地域インベントリー研究者ネットワークを発足させ、これを活用して同地域のGHGインベントリーの中でも特に重要で優先順位が高いと考えられる排出・吸収源について実測研究や重点的な議論を進め、IPCC等に提言すべき成果を得た。例えば土地利用・土地利用変化及び林業の分野については、東南アジア3カ国(タイ・フィリピン・インドネシア)の研究者と協力し、森林炭素の各種観測データを収集し、相対成長測定式によるバイオマス量(炭素貯蔵量)推計モデルの評価・改善等を行った。また、農業分野では稲作起源のGHG排出量推計方法について近年の研究論文を吟味し、今後のIPCCにおける推計方法改善の議論に向けた提言をまとめた。本研究の活動および成果は、今後のIPCC国別温室効果ガスインベントリープログラム(技術支援ユニットが財団法人地球環境戦略研究機関内に設置されている。)の活動とも密接に関連しており、同プログラムに対する日本の貢献の一つとなりうるものである。


[キーワード]

 アジア太平洋地域、温室効果ガスインベントリー、IPCC、推計方法改善、排出係数データベース