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[D−3 アジア縁辺海域帯における海洋健康度の持続的監視・評価手法と国際協力体制の樹立に関する研究]

(2)定期航路船舶による海洋健康度のオンライン監視とプランクトン認識の高度化に関する研究


独立行政法人産業技術総合研究所

 

電カエネルギー研究部門 電力環境計測グループ

飯高弘・土井卓也・西山勝男・
藤縄幸雄

計測標準研究部門 電磁波計測科 電磁界標準研究室

中野 洋

産官学連携部門 関西産官学連携センター

齋藤俊幸


[平成11〜13年度合計予算額]

 平成11年〜13年度合計予算額 31,342千円
 (平成13年度予算額 9,000千円)

[要旨]

 沿岸海域における海洋健康度の持続的監視・評価の実現を目標に、運航数が多く繰り返し計測を実現できる瀬戸内海定期航路船舶をプラットフォームとするリモートアクセスステーションの技術開発を行った。海水中の珪素とリン・窒素との組成比が海洋健康度の評価指標の有力候補である。珪藻と珪藻以外の植物プランクトンとの存在比は、珪素とリン・窒素との組成比に大きく影響すると考えられる。このような観点から、陸上から船舶衛星電話を介して顕微鏡撮像システムをリモート操作し、撮像・画像処理を行い、その結果をとおして海洋の健康度を評価することを目指した。
 リモート操作の実現のため、船内LANを構築し陸上と船上との連携による運用実験を行った。その結果、陸上からの指令で、顕微鏡撮像システムの駆動、植物プランクトンの撮像・画像処理、GPSデータも含むハードディスクヘのデータ蓄積、画像・画像処理ファイル名の自動作成、そして陸上のデータサーバヘの画像・画像処理データの転送が行えることをあきらかにした。撮像画像をJPEG圧縮することによって、原画像に遜色のない画像を比較的短時間(約36秒)で陸上に転送できた。
 船内振動による画像のぶれを抑制する工夫を施することで、種の判別指標となる特徴量の抽出に要求されるクリアな画像を得ることができた。計算機を用いた植物プランクトンの自動的な形状分類に必要な画像標本、ならびに採集された植物プランクトンの特徴量データ集を作成した。植物プランクトンを顕微鏡の視野内に誘導するため、上方ろ過法による海水中の植物プランクトン濃縮装置を設計・試作レ良好に機能すること、ならびに濃縮液を委託分析した結果、最大100倍以上のプランクトン濃縮が可能であることを確認した。
 以上の技術開発によって、船内の顕微鏡撮像システムを陸上においてリモート操作し、海洋健康度のオンライン監視を実現するための植物プランクトン特徴量および画像を取得する基盤を確立した。


[キーワード]

 海洋健康度、プランクトン認識、オンライン監視、定期航路船舶、リモートアクセス