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[D−1 東シナ海における長江経由の汚染・汚濁物質の動態と生態系影響に関する研究]

(1)長江経由の汚染・汚濁物質の負荷量把握に関する研究


独立行政法人国立環境研究所

 

流域圏環境管理研究プロジェクト 流域環境管理研究チーム

村上正吾,徐開欽

流域圏環境管理研究プロジェクト 海域環境管理研究チーム

木幡邦男,牧秀明,越川海

水土壌圏環境研究領域長

渡辺正孝

水土壌圏環境研究領域 水環境室研究室

内山裕夫

水土壌圏環境研究領域 土壌環境研究室

高松武次郎,林誠二,越川昌美

生物圏環境研究領域 系統・多様性研究室

広木幹也,河地正伸

日本スーパーマップ株式会社

林 秋博


[平成11〜13年度合計予算額]

 平成ll〜13年度合計予算額 75,631千円
 (うち、平成13年度予算額 23,095千円)

[要旨]

 東シナ海に流入する汚濁負荷推定のために1998年11月9日〜11月12日、1999年10月28日〜10月30日にわたって南京−上海間の9地点で横断観測を行った。懸濁粒子濃度は90mg/1〜200mg/1と長江流域に大きく影響を受けること、Si濃度は一定して約110〜120μM程度であること、リンは約80%が土砂粒子に吸着した粒子態であり、溶存態リンとしてはPO4-Pが0.7μM程度であること、NO3-Nは上流農地から負荷され約40μM程度、NH4-Nは上海からの負荷が大きく約40μM程度となっていることが判明した。
 河口域は高栄養塩濃度にもかかわらず光合成速度は低くDIC及びDOCを起点とする動物プランクトンヘの炭素移送効率は無機経路PLTが3.9%、有機経路PLTが11.6%である。このことから河口域は懸濁粒子による光制限となっておりバクテリア−微小動物プランクトン−動物プランクトン経路を通じての炭素循環が主であり、懸濁粒子が沈降し光制限から開放されて後、光合成経路を通じての炭素循環が重要となることが明らかになった。
 1998年と1999年全年の日流量データベースを構築し、上記調査期間における日汚濁負荷量の推定を行った。その結果、長江流域の汚濁負荷排出は大都会からの影響が大きく、特に上海等大都市からの負荷が大きいこと、洪水期からの流出負荷が重要であることが明らかになった。また、長江流域経由東シナ海に流入する汚濁負荷量は、河口域の濁河調査地点の水質及び上海市からの排水データを用いて、東シナ海へ流入する総負荷量の予測が可能であることが示された。


[キーワード]

 長江感潮域、汚濁負荷、N/P比、13C安定同位体、東シナ海