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[B−11 地球温暖化による生物圏の脆弱性の評価に関する研究]

(3)森林生態系の脆弱性に関する研究

G帯林生態系の森林域分類と脆弱性の評価


独立行政法人森林総合研究所

 

木曽試験地

長谷川元洋・岩本宏二郎

(研究協力機関)

 

京都大学生態学研究センター

北山兼弘

横浜国立大学

伊藤雅道


[平成11〜13年度合計予算額]

 平成ll〜13年度合計予算額 16,286千円
 (うち、平成13年度予算額 4,832千円)

[要旨]

土地利用変化が急激に進んでいる湿潤熱帯では、温暖化による影響は、広域な景観の中での生態系間の相互作用を通して複雑なプロセスの下に生じる。東南アジアでは、エルニーニョに伴う干ばつの影響が著しく、温暖化によって干ばつの規模はさらに大きくなると予測されている。このような状況で湿潤熱帯での温暖化予測をするために、時空間のスケールが問題となる。この研究では3年間に渡りキナバル山(ボルネオ島)の森林試験区の生態プロセスを精査すると同時に、ボルネオ島のマレーシア・サバ州を例に広域での土地利用変化の実体も調べ、長期的温暖化影響と、短期的干ばつ影響の予測を試みた。長期的予測に当たっては、森林生態系の炭素動態を植物の生産と分解のバランス変化から解析した。また、温暖化影響の指標として、土壌中の有機物動態と密接な関係にある土壌動物に着目し、その指標性を検討した。実測から求めた経験モデルを広域に適用した結果、比較的富栄養な土壌上の低地熱帯林が、高地熱帯林あるいは貧栄養な低地熱帯林に比べて、温暖化後により大きな炭素放出源になり、生態系の変動が大きくなると予測された。原生林のほとんどは保護区に残存し、州の大半には択伐後の二次林とプランテーションが広がっていた。これらの択伐後二次林は森林火災に対して立木延焼率が大きいと仮定すると、商業伐採によりサバ州全域に森林火災危険地域が広がっており、温暖化によるエルニーニョ干ばつの規模増大により、森林火災の危険性が高まると予測された。長期的な温暖化影響の指標として、土壌動物の有効性が確かめられた。熱帯にありながら高い標高のために低温環境にある土壌動物の群集はきわめて特異なものであり、地球温暖化に対してれらの種の生息域が狭まり種の存続が危ぶまれると予測される。標高3100mの堆積岩地のササラダニを例に取ると、平均気温2度Cの上昇は11%、4度Cの上昇は33%の種の生息に何らかの影響を与えることになると考えられた。


[キーワード]

 熱帯雨林生態系、炭素動態、土壌動物・菌根菌、土地利用変化、干ばつ