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[A−2 オゾン層破壊物質及び代替物質の排出抑制システムに関する研究]

(2)廃家電からのフロン類の回収システムに関する研究


独立行政法人国立環境研究所

 

 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター

大迫政浩・川畑隆常

 化学物質環境リスク研究センター

中杉修身


[平成11〜13年度合計予算額]

 平成11〜13年度合計予算額 6,849千円
 (うち、平成13年度予算額 2,815千円)

[要旨]

 電気冷蔵庫と小型冷凍空調機(ルームエアコン)由来のフロンの最適な回収・処理システムを設計することを目的として、平成11年度には、全国におけるフロンの長期的な廃棄量を時系列的に予測するとともに、都道府県別の面的な廃棄量分布を推定した。平成12年度には、家電製品からのフロン類の回収・破壊状況を、文献調査及びヒアリング調査することで、現状と問題点を明らかにした。この結果、冷蔵庫の冷媒に使用されているフロン類については、リサイクル施設で回収されているが、断熱材に使用されているフロン類については、回収が行われていない施設が相当数あることが明らかとなった。
 また、家電製品に加えて自動車カーエアコン、業務用冷凍空調機器の廃棄により発生するフロン類の総量を経年的に把握し、この中で家電製品の廃棄により排出されるフロン類の割合を明らかにした。家電製品の寄与率は、フロン類の総廃棄量の30%台を占めることから、オゾン層破壊防止及び地球温暖化防止の観点から、確実な回収・破壊システムの構築が必要である。
 平成13年度には、ライフサイクルアセスメント(LCA)の手法を用いて、フロン類の回収・破壊システムを評価した。インパクトカテゴリ別には、オゾン層の破壊の影響が大きく、地球温暖化に対する影響も無視できない。特定フロンは、特に影響が大きいことから確実な回収・破壊が求められているが、シクロペンタンについては回収・破壊を行うことにより環境負荷が大きくなるという結果となった。工程別には大気放散による環境負荷が最も大きいことから、環境負荷を低減するためには回収率の向上が重要なポイントである。製品別には、家電リサイクル法で回収・破壊が位置づけられていない冷蔵庫の断熱材に使用されているフロン類の影響が大きいことが明らかとなった。


[キーワード]

 廃家電製品、フロン類、廃棄量予測、都道府県別、ライフサイクルアセスメント(LCA)