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[H−3 中国における土地利用長期変化のメカニズムとその影響に関する研究]

(3)北部・東北部地域における土地利用が環境に及ぼす悪影響に関する研究



中華人民共和国水文地質工程地質研究所

●張 兆吉

[経済産業省工業技術院地質調査所]

 環境地質部 水文地質研究室

●石井武政


[平成10〜12年度合計予算額]

6,183千円

(うち、平成12年度予算額 2,061千円)

[要旨]

 河北平原は半乾燥の気候区に属している。今後、土地利用の度合が益々高くなり、水資源の需要は増加し続けると考えられる。水資源の確保は21世紀の農工業発展のキーポイントになると考えられる。本研究では、地下水のパラメータを正確に把握して地下水収支の解析を行うと共に、浅層と深層の地下水流動に関する数学モデルを構築して地下水賦存量(資源量)の変動予測を行った。
 収集した資料に基づいた 1980 年代の収支計算結果によれば、河北平原の浅層地下水涵養量は、年間合計 101.14x108t で降水の浸透が主な涵養源であり、年間消失(排出)量は合計105.2x108t で、主に地下水の揚水による。帯水層貯留量の年間変化量は3.88x108tとなり若干の地下水位の低下が起こっている。
 浅層と深層の地下水流動に関する数学モデル中の一部のパラメータについては、1985年 から5年間の地下水位変動を最もよく再現するように決めた。そのパラメータ値を用いて、1990 年以降の地下水位変動を計算して再現性をチェックし、本モデルが河北平原における地下水位分布の将来予測に適用できることを確認した上で、2030 年までの地下水揚水シナリオに与えて、河北平原の浅層及び深層の地下水位(水頭)の将来変化を予測した。計算結果によれば、揚水量を今後ゼロとしたシナリオの場合、平原中央部と沿岸域では、10 年後には地下水位が回復して 3m 前後で一定となるが、平原西部では回復に 30 年はかかる結果となった。揚水量を 1994 年の実績で一定としたシナリオや揚水量増加のトレンドがこのまま伸びるシナリオの場合には、2030 年には平原西部では人口 100〜200 万人の都市を中心に浅層・深層両帯水層が、また平原東部では深層帯水層が深刻な事態を迎えることが懸念され結果となった。一方、平原中央部と沿岸域における適量の浅層自由地下水の揚水は、この地域の土壌の塩類化防止に有効であると考えられた。


[キーワード]

河北平原、中国、地下水、水収支、水理学モデル