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[H−3 中国における土地利用長期変化のメカニズムとその影響に関する研究]

(1)地図化手法による中国の土地利用長期変化予測に関する研究



[環境省国立環境研究所]

  水土壌圈環境部 上席研究官

●大坪国順

[経済産業省工業技術院地質調査所]

  環境地質部 水文地質研究室

●石井武政

社団法人システム総合研究所

山梨大学教育人間学部

●尾藤章雄


[平成10〜12年度合計予算額]

58,573千円

(うち、平成12年度予算額 17,388千円)

[要旨]

 中国全域における 1990 年代と 1925 年代の食糧生産量と消費量のアンバランスについての分布を 20km メッシュで検討した。まず、生産量算定の基礎となる耕地面積を評価するために、自然条件から決まる中国全土の潜在耕地分布のマップを 20km メッシュ精度で作成した。一方、消費量算定の基礎データとして、1990 年代と 2025 年代までの人口分布を 20km メッシュ精度で推定した。1990年代の生産量分布については、県単位で得られている農業センサスデータを基に、一方、需要分布については、県単位で穀物毎の消費量を基に、人口偏在配分法で 20km メッシュに配分した。生産量分布と需要量分布から見た食糧のバランスマップを作成し、その背景や傾向を検討した。2025年次の生産量分布については、省毎に生産量を予測し、1990 年代の生産量分布を基に 20km メッシュに配分した。需要量については、シナリオで与えた 2025 年次の一人当たりの食物摂取量と先に求めた人口分布予測図を基に 20km メッシュ図を作製した。これらを基に 2025年代の生産・需要バランスマップを作製した。
 華東地域としては都市拡大のメカニズムを精査するために蘇州市 (city)、錫山市 (municipality)、錫山市内の4つの建制鎮 (administrative town) の各レベルでの都市域拡大に関する現地調査を行った。都市拡大に関する統計資料、地図、衛星画像、インタビューを通じて各レベルでの都市拡大要因を解析し、サブテーマ2の華東地域での都市拡大モデルの基礎資料とした。
 北部・東北部としては、東北部の三省(遼寧、吉林、黒竜江) を対象として、県 (county) レベルの統計データを用いて土地利用変化の時間的・空間的変化特性を抽出し、土地利用変化と社会経済的因子との関係を分析した。その分析結果を考慮して大都市郊外の上地利用変化と農村地区の上地利用変化のモデル化を行った。モデル化に必要なデータ・知見を収集するために現地調査を上記三省に対して実施し、農業発展に対する郷 (村) レベルでの指導者の役割、技術移転の重要さが浮き彫りとなった。


[キーワード]

中国全域、中国華東地域、中国北部・東北部、土地利用・被覆変化、グリッド地図、食糧バランス