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[G−1 砂漠化の評価と防止技術に関する総合的研究]

(1)砂漠化研究の総合化と砂漠化防止技術の体系化に関する研究



[環境省国立環境研究所]

  地球環境研究センター

●清水英幸

  生物圈環境部環境植物研究室

●戸部和夫

東京大学大学院農学生命科学研究科

●恒川篤史

パシフィックコンサルタンツ(株)

●山田和人、藤森眞理子、梶井公美子、安部和子


[平成10〜12年度合計予算額]

30,931千円

(うち、平成12年度予算額 13,299千円)

[要旨]

 本研究では、これまで個別的・独立的に行われがちであった砂漠化関連の研究成果や砂漠化防止技術の総合化・普遍化を行うために、(1)砂漠化研究の総合化と、(2)砂漠化防止技術の体系化の2点を主たる課題として、解析・考察した。
 砂漠化研究の総合化については、モデリング・アプローチがその有効な手法の一つと考えられる。そこで既往の砂漠化モデルをレビューした結果、砂漠化の要因、結果、影響のプロセスを包括的に扱ったモデルは開発されていないことが判明した。そこで、一連の砂漠化プロセスを総合的かつ定量的に把握するための「砂漠化統合モデル」のフレームワークとそのモデリングの方法について検討した。モデル開発は村落スケールと地域スケールの二つの空間レベルを設定した。村落レベルモデルでは、独自の詳細な調査データを基礎に、人間活動(社会経済)モジュールと生物生産モジュールを中心として、生物資源の生産とその利用(需給バランス)を定量的に表現するモデルの開発が必要であり、地域レベルモデルでは、統計資料を活用して、現在、UNCCDのCSTで行われている砂漠化の基準・指標のアプローチとリンクさせたモデル開発を行う必要性がある。また、これまでの砂漠化研究をレビューした結果、生物生産の需要供給バランスや、生産力変化の経済的評価に関する研究が手薄であることが判明した。統合的な砂漠化モデルの開発にあたって、これらの点については独自のデータ収集を行うことも視野に入れながら、研究を推進していく必要性があることを指摘した。
 砂漠化防止技術の体系化に関しては、対策技術が主として対象とする事象ごとに分類・整理すると共に、国内外の砂漠化対策関連研究者等へのアンケートから、具体的な技術例の効果の大きさ、緊急性の高さ、普及の必要性等に関する知見を整理した。また、砂漠化対策技術の範囲および働きかける対象により対策技術を整理する「技術分類マトリクス」案を検討し、さらに、技術の物理的・社会的・経済的評価等を地域特性と併せてまとめた「技術評価マトリクス」を作成した。これら二つのマトリクスを組み合わせ、様々なプロジェクトの比較検討を行った。小規模コミュニティレベルの最新技術のうち、風力、バイオガス等の再生可能エネルギー、およびマイクロガスタービン、燃料電池等の最新技術との組み合わせ利用に関する普及可能性の検討を行ったところ、技術・人材・資金等の課題は相当程度大きいものの、将来的には具体的なケーススタディ等を実施した上で、特に遠隔地域における適用を検討することが望ましいと考えられた。さらに、入手の容易なデータに基づく技術評価手法の検討を行った。各種の技術を、技術のレベルおよび対象範囲による分布図に整理して評価すると共に、対象国の技術運用可能性をHuman Development lndex により整理し、これらを踏まえて各種の事例を解析し、技術の導入可能性に関する評価を行った。さらに、類似の条件等を有する地域において適用可能と考えられる、コアセットメニューの抽出を試みた。


[キーワード]

技術の体系化、研究の総合化、砂漠化対処条約(CCD)、砂漠化統合モデル、砂漠化防止技術