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[C−2 酸性・汚染物質の環境−生命系に与える影響に関する研究]

(3)集水域の酸中和能力の評価に関する研究


[環境省国立環境研究所]

  地球環境研究グループ 酸性雨研究チーム

●佐竹研一

弘前大学理工学部

●鶴見 実


[平成11〜12年度合計予算額]

8,104千円

(うち平成12年度予算額 3,956千円)

 

[要旨]

 現在、酸性雨に関係する陸水の測定項目としては、アルカリ度が一般的に用いられているが、アルカリ度で陸水の酸性雨による影響を評価することは難しいことから、11年度までに陸水の酸中和能を評価する手法の開発を行い、この手法を用いた渓流河川の酸性化の予測手法について検討を行った。 11年度と12年度は、引き続きpH、酸中和能の低い屋久島において調査を継続するとともに、水質自動観測装置を用いた水質の連続観測を、屋久島の鯛の川上流右支川と半山川で開始した。測定項目は、pH、電気伝導率、水温、水位、降水量である。鯛の川上流部は標高約1350mに位置し、冬季に装置自体が雪の中に埋まってしまっていたと考えられるが、連続観測は可能であった。しかし、pHについては現時点で連続観測は非常に難しいことがわかった。また、酸性雨の陸水への影響を考えた場合、最初に渓流水のpHが低下すると考えられるが、その水質についてはほとんど調査がなされていない。長期間に渡って徐々に進行する現象の解明には過去のデータが貴重なものになる。この観点から面的な渓流水の水質調査をおこなうこととし、11年度に兵庫県と鳥取県の県境に位置する氷ノ山の周囲で、合計109の渓流河川の調査を行った。その結果、前年度に示した評価基準で、酸性化の可能性があると判断される河川は4河川のみであり、他の105河川は今のところ酸性化の可能性がない河川に分類された。


[キーワード]

酸性化、酸中和能、pH、山地渓流河川、山地湖沼