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[C−2 酸性・汚染物質の環境−生命系に与える影響に関する研究]

(1)酸性汚染物質の環境中動態に関する研究

②酸性汚染物質の生体内蓄積及び代謝阻害機構に関する研究


[経済産業省 物質工学工業技術研究所]

 計測化学部 生体微量分析グループ

●高津 章子、内海 昭

 計測化学部 部長

●岡本 研作


[平成11〜12年度合計予算額]

6,000千円

(うち、平成12年度予算額 3,000千円)


[要旨]

 環境の酸性化は土壌中のアルミニウムの溶出をもたらし、これらのアルミニウムの生態系に与える影響が問題とされている。本研究では環境の酸性化に伴って溶出するアルミニウムと生物との関係を明らかにするために、火山性酸性湖である宇曽利湖及び猪苗代湖のウグイ試料を用いて酸性環境に生息する生物体内アルミニウム含有量とその蓄積形態について検討を行った。特に、これまでの研究で酸性環境である宇曽利湖および猪苗代湖に生息しているウグイの各臓器のアルミニウム濃度はどちらも酸性ではない天竜川のウグイに比べて高濃度であり、特にエラ中のアルミニウム濃度が高いことを明らかにしたが、今回、さらに組織内でのアルミニウムの蓄積形態等についての検討を行うため、アルミニウムの蛍光プローブ剤を用いて、ウグイ各臓器中アルミニウムの組織内での局在を明らかにする計測方法について種々の検討を行った。その結果、アルミニウム濃度の高かった宇曽利湖および猪苗代湖のウグイのエラについて、アルミニウムの蓄積を視覚的に観察することが可能になった。また、宇曽利湖と猪苗代湖のウグイのエラでは、アルミニウム濃度でみると値はほぼ等しかったのに対し、蛍光像では猪苗代湖のウグイのエラでは局所的に強い蛍光が見られアルミニウムが局在していると考えられたのに対し、宇曽利湖のウグイのエラでは猪苗代湖と同様な局在と共に全体的に明るい蛍光像が得られ、局在のありようがやや異なると考えられた。


[キーワード]

酸性環境、湖、アルミニウム、ウグイ、組織内分布計測