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[B−7 北太平洋の海洋表層過程による二酸化炭素の吸収と生物生産に関する研究]

(1)海洋表層CO2分圧測定の高度化に関する研究

①船上CO2分圧測定装置の開発改良と測定法間誤差要因の解明


[環境省国立環境研究所]

 

 地球環境研究グループ 温暖化現象解明研究チーム

●野尻幸宏、町田敏暢

 国際室

●植弘崇嗣


[平成8〜12年度合計予算額]

43,749千円

(うち、平成12年度予算額 7,765千円)

[要旨]

 海水中CO2分圧測定の正確さを高めるために、CO2分圧測定装置での方法間誤差を解析した。海水中CO2分圧測定の正確さを高めるために、測定装置間の差を実測した。水産庁水産工学研究所の大型室内海水プールを用いて、1998年1月に国内研究機関の測定装置を持ちよる相互比較実験を行なった。大型プールの使用によって、安定な水温と二酸化炭素分圧での実験を行なうことができた。合計10式の測定装置を比較運転したところ、測定値はほぼ±2ppm以内で一致した。その実験の際に、バブリング平衡器を前段平衡器としミキサー平衡器を後段平衡器とするタンデム平衡器を考案し、良好な結果を得た。引き続き1999年3月に、バブリング平衡器とタンデム平衡器の厳密な差を求める実験を、同室内海水プールを用いて行った。その結果、バブリング平衡器が系統的に低い測定値を与えることが判明した。その効果は濃度比例であり、表面張力の効果と考えられた。
 このことを考慮に加えて、日加定期貨物船船上で同時に運転しているシャワー平衡器とバブリング平衡器のデータの差を精密に検討した。実験で求めた0.08%の補正係数を用いて評価したところ、1997年以降の両者のデータは、極めて一致度が高かった。また、貨物船上のバブリング平衡器は、1998年3月にタンデム平衡器に変更したが、変更後もシャワー方式とタンデム方式間には有意の差が認められなかった。このことから、1997年以降の日加定期貨物船船上測定は、極めて信頼性が高く、経時変化の解析にも有用であることが明らかになった。
 研究成果を踏まえて、1999年に新規に日加定期貨物船に設置したタンデム平衡器を用いるシステムは、船上の条件にも関わらず、0.45ppm程度の正確度で運転されたことがわかった。


[キーワード]

二酸化炭素、海水中分圧、気液平衡器、測定法間誤差、相互比較実験