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[B−4 森林の二酸化炭素吸収の評価手法確立のための大気・森林相互作用に関する研究]

(5)二酸化炭素高度分布測定とデータ解析による吸収源強度の推定


[環境省 国立環境研究所]

 地球環境研究センター

●井上元

 地球環境研究グループ温暖化現象解明研究チーム

●町田敏暢

 大気圏環境部大気動態研究室

●高橋善幸

 地球・人間環境フオーラム

●渡井智則・石崎教夫

 地球フロンティア研究システム

● S. Maksyutov

 原子力研究所

●志甫諒・山本昌則・ 渡辺聡彦

[経済産業省 資源環境技術総合研究所]

 環境影響予測部 大気環境予測研究室

●近藤裕昭・三枝信子・村山昌平・飯塚悟

 首席研究官

●山本 晋


[平成11〜12年度合計予算額]

80,163千円

(うち、平成12年度予算額 40,010千円)

[要旨]

 北海道苫小牧のカラマツ林にあるフラックス観測サイトで、渦相関法による測定と、二酸化炭素の高度分布の時間変化測定とを比較した。夜間の温度逆転層に森林の放出する二酸化炭素が蓄積する速度を気球で測定し、早朝蓄積された二酸化炭素が森林の光合成により吸収される速度を模型飛行機で測定した。大気カラム濃度の変化から求めた収支は、渦相関法により求めた収支に比べ、夜間については約2倍、早朝についてはほぼ等しい値となった。
 岐阜県高山市乗鞍岳山麓にあるCO2交換量長期観測地点で、複雑地形の観測値への影響をみるために小塔を設置して局地循環と夜間のCO2フラックスとの関係を調べた。この結果斜面下降流が発達する夜間には27mタワーで測定されるCO2フラックスが非常に小さいことがわかった。27mタワーで測定される各種フラックス量について複雑地形の影響を解析した。この結果、運動量、顕熱、潜熱、二酸化炭素の各フラックスに対する複雑地形の影響は同じではないこと、特に潜熱は西風で急斜面を吹き上がってくる風向のときには地表面の値を代表していない可能性があり過小評価となっていることが示唆された。メソスケールモデルで観測地点のCO2濃度変化の再現を試みた。この結果メソスケールの風系の変化が濃度変化に影響を及ぼしており、高山での測定濃度の最大値が朝方ではなく深夜に出ることがわかった。


[キーワード]

CO2フラックス、生態系交換量、複雑地形、CO2濃度変化、メソスケールモデル